ふじこ

ギミー・シェルターのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ギミー・シェルター(2013年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

これは結構良かったなぁ、実話を元にした映画。
薬中の売春婦の娘アップル(アグネス)は度重なる暴力と里親へ出される環境から家出、かつて一度だけ手紙をくれた今は成功し裕福な暮らしをする父の元へ行き対面を果たし、しかし望まぬ妊娠をしてしまうも生みたいアップルと堕ろさせたい父と再婚した妻との確執から再度家出。
彷徨い歩いている処を神父さまに拾われ妊娠したティーン向きのシェルターへ。そこで出会った同年代の妊婦、母親の女の子たちとの関わりから心を開き、母親へと変わっていく。
妊娠させた相手(アップルの母)に拒否された為に逢う事が叶わなかったけれど、父として出会ったばかりのアップルへの戸惑いを乗り越えて真摯に接してくれた父親との関係もゆっくりと好転しそうで、良かった。

酷い環境で育ったが為に他の誰をも信じられずひたすら頑なだったアップルが神父さまに、シェルター長、同年代の女の子たち、そして父親へと心を開いて行く過程がじわじわと心温まって、彼女と彼女の子の今後の幸せを願ってしまうような良い映画だったなぁ~。
見たこともない父親がつけてくれた"アップル"の呼び名に拘るのも可愛かった。

彼女の母親は、彼女と同じように育って、そして彼女とは違って誰にも出会えなかった結果なんだろうと思う。誰も彼女に手を差し伸べる事はなく、救いはなく、ひたすら社会の底の方で生きる事になってしまった結果であって、犠牲者と言えばそうなのだと思う。
だからと言って子供を虐待して良いわけじゃないけれど、そもそも愛がなんなのか知らなければ愛し様がないんじゃないのかなぁ。
幼かった少女の頃の彼女が救われなかったのが悲しい。
ふじこ

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