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ダバング 大胆不敵のBaadのレビュー・感想・評価

ダバング 大胆不敵(2010年製作の映画)
4.8
夏に大阪の上映で見ましたが、あまりの内容の濃密さと過剰さにレビューを書くのを忘れ、そのままになっていました。

明日から全国各地で再上映が始まるというのに内容にふれたレビューがあまりないようなので、つたないながらも少し感想を書いてみます。

と言っても難しいです。ストーリーを書いてしまうと家族を巡る感動ストーリーだったりするのですが、内容はう~む。

という訳で、目立つ特徴を列挙してみます。

南インドそれもおおらかなタミルではなくテルグとかカンナダとか、書いてる本人もよくわからないのですが、割とシャープで暴力的な系統のマサラ映画をボリウッド風に王道にアレンジしたもの。
短めの上映時間ですが、ダンスシーンもアクションも恋愛も家族の物語も政治腐敗もきっちりと描き切っていてとにかく重量級。でも、笑いもあって、最後には感動できます。

味わいとしては昭和の任侠映画と似ているけれどそれより遥かに陽性ですね。でも、中身はやっぱり似ているかなあ。

アクションは結構派手で命がけっぽいんですが、個人的にはあからさまで派手な特撮とスローモーションの多用が気になる。それ以外は非の打ち所がありません。お笑いの要素もあります。

悪徳政治家役のソーヌー・スードさんが美男でアホでかわいいです。それ以上に父親が違う主人公の弟のマッキーがアホでかわいい☆マッキー役のアルバーズ・カーンは主演のサルマンの弟でプロデューサーもかねています。(奥さんはダンスシーンで踊っていますが、踊りの名手。)義理のお父さんもアホで可愛い。お母さんは立派な人です。嫁は迫力のある美人で親思いで頑固です。嫁のお父さんはう~ん、複雑。嫁のお兄さんは唯一いい人かも。お兄さんが秘書をしている大物政治家をアヌパム・ケールさんが演じているんですが、基本的には立派な人ですがやっぱりちょっと腹黒い。基本的にこういうタイプの人がいっぱい出てくる映画です。

あからさまには描かれていませんが、主人公の一家と嫁の一家の社会的立場の違いとか、政治家の本音と建前とか地方選挙のあり方とか、かなり細かく描かれてます。

家族制作に近いプロダクションで作った映画ですが、そこそこ大作で脚本の出来がとてもいいです。

見終わるとあまりの過剰さに驚き、もう一度見たくなる。いや、凄い映画です。

この映画一本見ておくとボリウッド映画のこともインドのこともかなりディープな部分に触れることが出来ますので、見たとき分からなくてものちのち役に立つかもしれません。

もちろん、単純にアクションやツンデレの恋愛シーンを楽しむだけでも大丈夫、だと思います。

(マサラ映画集大成 2014/10/3記)

付記:サルマン・カーン主演の南インド風味のマサラ・ムービー。ちょっとラジニカーントの映画っぽいんですが、ボリウッド風に押さえるところは押さえてあり、物語もしっかりしています。2時間ちょっとという今風の短めの上映時間も◎。それでいてダンスシーンもきちんと踊っています。正義の味方の(犯罪を摘発しては、押収したお金を取り上げて世直しに使う)警官がやりたい放題暴れ回りますが、同時に家族の再生をも丁寧に描いていて見応えあり。マライカ・アローラがアイテムガールとして出演するダンスシーンも見事。傑作です。(2014/1/6記)
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