このレビューはネタバレを含みます
Amazonよりあらすじ転載
《1970年代のシチリア島パレルモ。人々は日常化するマフィアの犯罪を見て見ぬふりをしていた。風変わりな少年アルトゥーロは同級生のフローラに恋しているが、告白できないまま、フローラはスイスへ引っ越してしまう。やがて青年になったアルトゥーロは、代議士リーマの秘書としてパレルモに戻ったフローラと再会する。》
予告編はこちら👇
https://youtu.be/_U7EL2jmgTo
○初めに「パレルモ警察機動捜査隊の若き隊員、ファルコーネ判事のSP、および殉職した全護衛官に捧げる」という献辞が出ます。
ジャケ写とタイトルとイタリア🇮🇹ってことで陽気なコメディだと思って再生ボタン押したのに心の準備が💦
○…と思ったら、主人公アルトゥーロの両親が子(主人公)作り→精子が発射され受精レース開始→真下の部屋でマフィア同士の銃撃戦→音に驚いて主人公以外の精子が脱落→主人公(の精子)無事受精 という面白下ネタ描写に「やっぱりコメディやん！(；´∀｀)=3」と一安心。(甘かった)
○誰かが准尉や新聞記者がマフィアに殺された、という話をするとマフィアを擁護する側が「でたらめだ、全部女のせいだ」「他人の女に手を出したからだ」と、とにかく女性問題にしてしまうのがイタリア男らしいw
○コメディと見せかけて、アルトゥーロの人生における様々な節目やちょっとしたイベントに絡んだり知り合いになった(という設定の)実在の人物達がどんどんマフィアに殺されていくことにビビりました:(´◦ω◦｀):
○24:15あたりから、ニュース映像としてマフィア同士の抗争の本物の犠牲者がそこそこなアップで映りますので苦手な方はご注意下さい⚠️この後も何度か同様のニュース映像が流れます。
○そのうち自分たちもマフィアに殺されるの？と父親に訊くアルトゥーロ。父親は「犬と同じで手を出さなければ咬んだりしない」「マフィアなんてここには居ないよ、根も葉もない噂だ」「マフィアは夏にしか殺らないよ、今は冬だ」などと息子を安心させるためにテキトーなことを言って誤魔化します。
それが悪いと言うのではなく、きっとその時代にパレルモで暮らす人達には見て見ぬ振りをしてやり過ごすしか自分や家族の身を守る術が無かったんだと思います。
自分も日本一有名な某暴力団のお膝元に住んでるので共感できる部分も多々ありました。総本部周辺行ったことあるけど要塞みたいでめちゃくちゃ怖いんだもん( ´༎ຶㅂ༎ຶ`)
○残り6分、アルトゥーロが幼い息子に「この人はマフィア撲滅に尽力したんだよ」等、町のあちこちにある暗殺された人々の記念プレートを読んでやるシーンで一気に涙がこみ上げてきました。アルトゥーロ、ずっとヘタレな描写されてたけど素晴らしい父親や…キミの教育方針は間違ってへん( ᵒ̴̶̷̥́ ·̫ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )b
しかし、そんな風に子供に説明出来るのも命懸けでマフィアに立ち向かった先人達の尊い犠牲があればこそ。自分は一生パレルモに行くことは無いでしょうが、志半ばで逝った彼らのことはずっと胸に留めておきたいと思います。
ジャケ写とタイトルでスルーするには勿体ない。重いテーマをコメディで取っ付きやすくしています。一見の価値あり、おすすめです。
※ファルコーネ判事が護衛の車列ごと高速道路で吹き飛ばされ爆殺されたニュースは、当時テレビで見て家族と「道路ごと吹っ飛ばすとか、映画じゃあるまいし本場のマフィアは無茶苦茶しよんな…(;´=ω=) ;´ω｀)ﾎﾝﾏﾔﾃﾞ」と話したのを覚えています。
☆ロッコ・キンニチ 判事。1983年7月29日(58歳)自動車爆弾で暗殺。
☆ボリス・ジュリアーノ 警察署長。1979年7月21日(48歳)銃で暗殺。
☆ダッラ・キエーザ 将軍。1982年9月3日(61歳)銃で暗殺。
☆ピオ・ラ・トッレ 政治家。1982年4月30日(54歳)銃で暗殺。
☆ジョヴァンニ・ファルコーネ 判事。1992年5月23日(53歳)道路に仕掛けられた爆弾で自動車ごと暗殺。※カパーチの虐殺
☆パオロ・ボルセリーノ 判事。1992年7月19日(52歳)自動車爆弾で暗殺。ファルコーネとは友人。
★サルヴァトーレ(トト)・リイナ 秘密結社的犯罪集団コーザ・ノストラのトップ。2017年11月17日(87歳)癌により獄死。劇中1992年にマフィア取締りの先鋒だったファルコーネとボルセリーノの両判事をパレルモで爆弾で殺害し、イタリア国民の反感を買い、これが逮捕につながる。
★ジュリオ・アンドレオッティ 政治家。2013年5月6日(94歳)ローマの自宅で死亡。本作のジャケ写はアルトゥーロがカーニバルで彼の仮装をしたシーン。「ゴッドファーザーPARTIII」では、マフィアやバチカンと癒着した政治家ドン・ルケージのモデルとなった。
