最初にKeira Knightley演じるグレタのシンプルな弾き語りを何気なく見せておいてからの、その日の朝に戻り…今度はもう1人の主人公であるMark Ruffalo演じるダンを華麗に簡潔に紹介。
そしてダンからの視点でもう一度グレタの弾き語りのシーンへ戻る。
ここで気持ちいいのは、その他エキストラの方々には弾き語りしか聴こえてないのだか、音楽プロデューサーであるダンにはドラムが鳴り、ピアノが鳴り…次々とアレンジが脳内再生されていく。
この感覚…音楽をやったことある人なら体感としてあるのではないか?!
ここは北島康介よろしく超気持ちいい!部分である。
○BAR
グレタ
「さっきも酔ってた?」
ダン
「だから魔法が起きた」
グレタ
「魔法って?」
ダン
「聞こえるんだ。酔ってるとアレンジが聞こえる」
グレタ
「あなたにだけね」
ーーーー
ダン
「自分を誰だと思ってる?ギター片手に歌えばキャロル・キングになれるか?」
グレタ
「アーティストに服装や印象を指示するなんてナンセンスよ。人は"本物"を求めてる」
ダン
「なるほど…本物ね。君が本物だと思うアーティストは誰だ?」
グレタ
「……ディラン」
ダン
「アイツこそ印象重視だ。髪型にサングラス。10年ごとに変えてる」
グレタ
「ランディ・ニューマン」
ダン
「ファッキンラブリーそこは賛成だ」
互いの瓶ビールを合わせて乾杯する。
ここ好き。
実名で、名指しで、ボブ・ディランをボロクソ言ってるのも愉快だし、その後にランディ・ニューマンを出してくるそのセンスのよさ…そんな女性いたら好きになっちゃうよ。
○車内
夜景の見える場所に駐車。
バックミラーに掛けてあるアクセサリー。
グレタ
「これ何?」
ダン
「これか?スプリッターだ。2つのイヤホンで聴ける。女房との初デートで使った」
グレタ
「そうなの?デートはどこで?」
ダン
「彼女のCDを聴きながら街中を歩いた。互いに二言しか話さなかった。その日が大晦日、2か月後に結婚した」
グレタ
「わーぉステキね」
ダン
「どんな音楽を?」
グレタ
「リストは見せないわ。恥ずかしい曲も入ってるもの」
ダン
「俺もそうだ。プレイリストで性格が分かる」
グレタ
「だから不安なのよ」
ダン
「見せ合う?」
グレタ
「いいわ…じゃあ見せ合う」
イヤホンスプリッターで互いのプレイリストを聴き合いながら街中を歩く2人。
「プレイリストで性格が分かる」とは言い得て妙だし、ロマンチストな私には大好きな台詞。
もちろん性格なんかプレイリストで分かるわけもないのだが…分かりそうな気がする感じ?このニュアンスを広げてる感じ?なんていうのか…プレイリストで好きになりたい!「本棚を見れば性格が分かる」と同じかな…
「手っ取り早く相手を知るには」が文頭にくるかもしれないけど…それも知った気になれるかだけなんだけど…単にその人の音楽の趣味ってだけだからねぇ…そもそも何の本質もついてない。
音楽を全く聴かない人を好きにならないわけじゃないと思うし…
でもなんか映画っぽくていいよね。
しかし、ひとつ素朴な疑問なのだが…この流れで同じことをするのが引っかかる。女房との初デートの話を目の前で聞かされたすぐ後にだよ?じゃ互いのプレイリストを見せ合う?って…なるかな?プレイリストで性格がわかるという話までしてんのに…
なんでアンタの嫁と同じデートプランを私とするわけ?って女性は思わないのか?
女心と秋の空なのか…
スプリッターイヤホンで互いのプレイリストを聴きながら散歩するって…私が女なら女房と同じデートをしたくないけど。
しかも初デートで二言しか話さなかったって美談のように言う男は嫌じゃないのか?全く話さないで、ひたすら曲聴いてんでしょ?イヤだよそんな奴…
人の褌で相撲してるようなもんじゃん?
お前の力じゃねぇからな?
お前何もしてなくね?
お前のプレイリストが良いんじゃなくて、単にその曲を作ったアーティスト達が素晴らしいんであって、お前には何の才能もないってことを露呈してますから!
まぁそこまでは言い過ぎたとしても…女性側に立って考えれば考えるほど、このダンって男が…よく見えなくなってきたな。
ダンのことを少しずつ気になり始めてたタイミングだとしても…そしたら、余計に嫌だと言う気がするのだが…男には女心がワカラナイからどうなんでしょう?
女性の意見を聞きたいところだが…
そうそう、ダンのことを気になっているのなら、女房と初デートの思い出のスプリッターイヤホンを今でも大切に車に置いてるって時点で、好きになろうとしないと思うけど。
全くダンのこと好きにもなってないし、単なるビジネスパートナーと割り切ってるなら、それこそ、断るよね?なんで、奥さんとの初デートと同じことをしなくちゃいけないの?あんたそしたら勘違いして私のこと好きになるでしょ?って普通に考えるよね?
ダンもどっちなんだ?
今でも奥さんのこと愛してる風に装ってるけど…そしたら、プレイリスト見せ合おうって言わないと思うけどなぁ…初デートと同じことをするかな?
そしてプレイリストで盛り上がり…ダンスしよう!と、イヤホンしながらクラブへ。
いや、クラブなんて音のデカいところ行ったらイヤホンなんか聴こえないだろ?ノイズキャンセラそんなに優秀?
アメリカ映画?にありがちのテンション上がったら踊り出すという感覚もよくわからない。社交界の名残りがまだ残っているのか?
クラブで踊るのもね画になるからいいけど…これを日本人がやると途端に安っぽくなるのはなんででしょう。
この辺は大いに疑問の余地がある。
アルバム作り。
娘をギターとして参加させる公私混同の権化となるプロデューサーのダン。
プロデューサーとして一番やってはいけないことのように思うのだが…
収録の途中から、いきなりギターをかき鳴らす娘。親バカのダンは当然ノリノリなのは理解できるのだが、他のバンドメンバーも、グレタまでもが一緒になってノリノリになってるのは違うのでは?
グレタ
「アーティストに服装や印象を指示するなんてナンセンスよ。人は"本物"を求めてる」
前半に大見得を切ったグレタなのに…この娘のギターソロが本物には到底感じなかったけど。私の脳内でアレンジされた曲の印象と全く合ってなかった。
ギター要らなかった…。
ダンに突如としてベースを弾かせるのも何だかな…え?なんで?ノリで?それだけの思いなの?自分の作品にプライドないの?
グレタの目的もブレてしまってないか?