Yuri

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛のYuriのレビュー・感想・評価

4.7
人はどこまで残酷になれるのか選手権みたいな映画でした。もうひたすらにコルネリスが可哀想過ぎて唖然( ; ゜Д゜) 情熱的な愛と穏やかな愛。この二つが両立されることはなく、どちらが幸せかは永遠の問いだと感じました。アリシア・ヴィキャンデルは愛に狂い道を踏み外す役が似合います。やってることは悪女なのにひたすら危うく純真無垢なので、目が離せない魅力があります。罪悪感と迷いがあるくせに、「私は悪くない、これしか道はない」という開き直りすら感じさせる、人間臭さがたまらないです。不妊で追い詰められていくソフィアの姿は現代女性と重なり、こんなにも昔から、女性は苦しみ続けているのだなと観ている私まで苦しくなりました(>_<) デイン・デハーンも今回は完璧に美男モードで、若い男女が愛のために堕ちていく、何にも変えられない美しさを見事に体現しています(*^▽^*) 絵を描いているシーンは「タイタニック」を思い起こさせられました。登場人物皆が深い愛を抱いており、幾度間違おうとも、人はこれからも愛に狂い、愛に突き動かされ道を進んでいくのだと、叩き付けられたようでした。チューリップ・バブルも絵画と違い、一瞬の短い命にお金を注ぎ込み狂う人々を観て、まさに狂乱。人間は可笑しな救いようのない生き物だなぁと、何だか神様の視点で上から見下ろしているような面白さがありました。シェークスピアの「ロミオとジュリエット」のように隙のなく古典的でさえある完璧な作品です。
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