Mikiyoshi1986

パロアルト・ストーリーのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

パロアルト・ストーリー(2013年製作の映画)
3.5
巨匠フランシス・フォード・コッポラの孫娘という肩書き(?)を度外視しても、大変センスの光る作品に仕上がっています。

ジア・コッポラ監督念願のデビュー作であり、叔母ソフィア・コッポラのデビュー作「ヴァージン・スーサイズ」と同じくして、ハイティーンの繊細で不安定な心情を紡いだ視点が見事。
カリフォルニアの陽光と乾いた空気がスクリーン越しから伝わってくる。
音楽のセンスも抜群だし、グザヴィエ・ドランと並んで新世代ディレクターの華々しい旺盛を感じさせます。

それとエマ・ロバーツの起用が特に良かった!
そうじゃなかったらもっと影の薄い作品になっていたかも知れません。

内容はほとんど覚えてないけど昔観た「スウェーディッシュ・ラブストーリー」をちょっと思い出しました。
そして前半のテディは「大人は判ってくれない」のドワネル君みたい。
酒・タバコ・ドラッグにまみれた未成年ホームパーティはとても印象的です。これぞステレオタイプのAmerican Teenager像!

大人でも子どもでもない、絶妙な年頃の焦燥感や虚無感。やり場のない不安や個々が抱える悩み。孤独と執着。恋愛と友情。
そういう良い意味で短絡的な青春時代を弔う100分間。

多くを語らず、脈絡と映像で連想させる様々な展開も気になります。
テディの長けた才能とエイプリルの大学進路とか。
フレッドの親父の振る舞いと、フレッドがスカルにした意味深な質問とか。
エミリーの色情理由とか。
逆走行と美術の先生が話すトンネルと虹とか。

もしも淀川さんが観たら「これは実はゲイの映画なんですね」とか言うのかな?
ともかくジア・コッポラの今後の飛躍が楽しみです。
Mikiyoshi1986

Mikiyoshi1986