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シンドバッド 七回目の航海のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

シンドバッドは、ある島で一つ目の怪物に追われていた魔術師ソクラを助けたシンドバッド。だが都に着いた後、ソクラはシンドバッドに再びあの島に戻るよう要求。実はソクラは島にある魔法のランプを手に入れようとしていた。シンドバッドが拒否すると、ソクラは婚約者のパリサ姫を魔法で小さくして、シンドバッドを脅迫する…。

とにかく子供も大人も家族ぐるみで楽しめる冒険活劇。
そして特撮の神様、レイ・ハリーハウゼンが放ったファンタジーの傑作。
ストップモーション・アニメ(ダイナメーション)で動く空想上の怪物たちは、最近のCGに無い味があり、その魅力は今も色褪せていない。

日本の着ぐるみ特撮になれた目には、どうしてもカクカクした動きが気になるが、着ぐるみでない分、人の形に引きずられない造形が見事。
サイクロプスやドラゴン、ロック鳥といった空想上の怪物たちの造形も素晴らしいが、その動きにいたってはまるで生きているかのようだ。
特にサイクロプスが攻撃を受ける時の目の動き、ガイコツ兵士がシンドバッドと見事な殺陣を見せるシーンは実写の人物とピタリと合っていて驚かされる。

その魔術師が瓶に入った待女を蛇女に変身させたシーンは後の「タイタンの戦い」のメデューサの造形にも繋がる。
姫が小さくなったりと、ダイナメーションだけじゃなく、遠近感を使ったアイデア溢れる特撮も素晴らしい。
個人的にはハリーハウゼンのベストワークとして推したい作品。
セットや衣装も作風にきっちりと馴染んでいて、アラビアンナイトの世界観を作り上げている。

ところが、お話の方は残念ながら難点が多い。
登場人物が間が抜けているのが気になって仕方がない。
蛇と人の合成をその目で見ていながら、小さくなった姫を見て、魔術師の仕業と疑わないシンドバッドと王たち。
魔術師が毒だと言ってるのに、水を飲んでしまう乗組員。
生まれてくるのが巨大な鳥のヒナだと判り切ってるのに、卵を割ってしまう…などなど。
迫りつつある危険に気付かないキャラクターに思わずそれを知らせたくなる。
恐らく日本でいうところの「志村後ろ!」のように、当時劇場で見た子どもたちは「NOー!」と叫んで楽しんだんだろう。

そんな子どもたちに一緒に物語に入り込んでほしいとアピールするかのように「アラジン」でお馴染みの魔法のランプの精ジーニーは幼い子どもの姿。
お父さんサービスには、小さくなっても全く動じないパリサ姫の朗らかで健康的なお色気。
お母さんサービスにシンドバッドも逞しい胸板全開で程よい胸毛をアピールしている。
きっと家族で見世物小屋的な妖しさを求めて劇場に足を運んだんだんだろうなぁと想像できる。

尺も90分弱と短く、テンポ良くダレない展開はとても見やすい。
童心に返った気持ちでドキドキワクワクしながら見れる作品だ。
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