Kuri

100歳の華麗なる冒険のKuriのレビュー・感想・評価

100歳の華麗なる冒険(2013年製作の映画)
3.7
北欧スウエーデン映画で、
100歳になるお祖父さんが老人ホームから抜けだして騒動をおこすドタバタコメディ。
ただ、その字面から受ける印象(ハートウォーミングなホッコリしたお話?)とは
少し違う手触りでした。

多少ネタバレします。
ネタバレしない方が面白い作品です。
それ以上にヨーロッパ近代史を中学生レベルには知っていた方が楽しめると思います。

さて
考えてみれば、
100歳のお祖父さんの人生とは第一次世界大戦からのヨーロッパ戦争の歴史と重なるわけで。
学歴はないけど爆発の魅力に取り付かれた1人の青年=かつてのお祖父さんは、
ときに右に、ときに左に弾かれながら
時代に流されてながら、
世界を股にかけた奇妙な人生をあゆんでいくのです。

青年は爆発が好きな余りにスペイン内戦に突っ込んでいくばかりではなく、かなり若い時からアル中で、全てにおいて酒を飲むことが一番。
100歳を迎えた現代でのどことなくここにいないような所作は、
年齢からなのか、酒に蝕まれたからなのか、はてまた時代に揉まれた逞しさからなのか、判別がつかないほど。

基本的に判別力がない人物が歴史に立ち会うストーリーは"フォレストガンプ"を思わせますが、
物語のトーンは基本シニカルなのでひとつひとつの出来事にはカタルシスはないまま。

母の遺言、"全てはなるようになる"がずっと通底しています。

ラストシーンでも相変わらずなんですが、それゆえになんとも良い瞬間に繋がってると思いました。

あと、
スウエーデン警察を圧倒的!に無能に描くのには笑ってしまいました。
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