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ロビンソン漂流記の一人旅のレビュー・感想・評価

ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)
3.0
ルイス・ブニュエル監督作。

スペイン出身の鬼才:ルイス・ブニュエルが英国の作家:ダニエル・デフォーによる1719年発表の小説「ロビンソン漂流記」を映画化したもので、本作は『昇天峠』(1951)、『エル』(1952)、『幻影は市電に乗って旅をする』(1953)等と共にブニュエルがメキシコ時代に撮った作品の一つです。

17世紀、英国から航海に出た中流階級の男が難破により未知の無人島に漂着し28年間にわたって島で生き延びてゆく様子を描いた“孤島サバイバル”で、物語は原作であるデフォーの小説に比較的忠実に沿っています。

宗教色が濃く難解な作品が多いイメージのルイス・ブニュエルですが、メキシコ時代に撮った本作はイギリスの冒険小説を原作とした明快な冒険活劇となっています。ほぼ全編が未開の孤島における主人公:ロビンソン・クルーソーのサバイバル劇に割かれていて、いわゆるDIYによる家屋の建設に始まって家畜の飼育、穀物の栽培、小麦による手製のパン作り…と文明が存在しない絶海の孤島でサバイバル術を習得しながら逞しく生き抜く主人公の孤軍奮闘が描き出されます。物語の後半からは、隣の島からやって来た部族の男“フライデー”が主人公の下僕として物語に参画するシチュエーションとなり、一人から二人体制での孤島サバイバルへとシフトしていくと共に、数十年にわたり暮らしてきた無人島からの脱出に向けて物語の舵が切られていきます。

ルイス・ブニュエルの入門編として万人が観易いエンタメ性豊かな無人島冒険譚で、主演のダニエル・オハーリーは本作の演技が評価されアカデミー主演男優賞にノミネートされました。
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