Sari

ロビンソン漂流記のSariのレビュー・感想・評価

ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)
3.5
奇想天外映画祭2023のラインナップ作品。

ダニエル・デフォー原作『ロビンソン・クルーソー』をブニュエルが映画化した。

1659年、ブラジルからアフリカに向かった船が難破して絶海の孤島に流れ着いた男ロビンソン・クルーソーは、難破船から食料、武器を運び出し、生き残った愛犬と猫と共に暮らし始める。

猫は野良猫と化し、唯一狩のパートナー的存在であった愛犬も老いて死んでしまう。
気づけば、28年という月日が流れていた。

◼️
『アンダルシアの犬』などのシュルレアリスム的作風で知られる鬼才ルイス・ブニュエルだが、このような文芸路線も撮れる才能があることをこの映画は証明している。
カラー画面の色彩が美しく、ブニュエル監督作と知らねば、一見すると正統派の文芸作品かのような趣である。

ダン・オハーリヒー演じるロビンソンが、父親の夢を見る場面は、ブニュエルらしいシュールで不気味な映像である。

サバイバルを通して、人間が生きていく上での孤独と生きる厳しさの表現が見事に成されており、ある種、ブニュエル流の文明批判とも受け取れる人間の本質を投げかけた作品であろう。

2024/02/04 U-NEXT
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