せんきち

セデック・バレの真実のせんきちのレビュー・感想・評価

セデック・バレの真実(2013年製作の映画)
2.5

霧社事件その後を描いたドキュメンタリー。期待していたが残念な出来。しかし資料価値は滅茶苦茶高い。

本作の主題である霧社事件についてある程度の知識がないと全く理解できないと思う。多少の注釈がつくが、かなりあっさりしてるので予備知識無しでは無理。最低でも『セデック・バレ』。出来れば霧社事件研究本を読んでおくと楽しめる。


凄惨を極めた霧社事件の後日談が描かれる。『セデック・バレ』エピローグと言うべき作品なのかも。メインは第二霧社事件。霧社事件の残党狩りを日本政府がやった事件で、対立する部族同士を煽り自らは手を下さず殺害する様は胸糞が悪くなる。アメリカがインディアンに、ドイツがユダヤ人に、オーストラリアがアボリジニにした様なことを日本は高砂族にしていたのである。民族の誇りを汚され、自らの言語を失ったが(セデックの言葉を理解する者はどんどん減っている)その加害者から植え付けられた社会で生活するしかない彼らの静かな怒りと苦悩が伝わってくる。

霧社事件の真相を関係者から聞き出すパートとセデック族発祥の地を探るパートのリンクが上手くいってないのでラスト30分が冗長で苦痛だった。ラストはいいんだけどなあ。
せんきち

せんきち