「アイ・イン・ザ・スカイ 世界で最も安全な戦場」とテーマが酷似していたので、暫く間を空けて観ようと思っていた作品。随分と放置してしまった。
対テロ戦争で使用される無人戦闘機ドローンの実態を「ガタカ」の監督アンドリュー・ニコルと主演イーサン・ホークのタッグで描く。
アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、ラスベガスの基地にあるコンテナ内で、無人機ドローンを遠隔操作し、遠く離れた異国の地の爆撃を行っている。任務が終われば郊外の自宅に戻り、妻のモリーと子供達と静かに過ごすのだった—— 。
命じられれば、女性達や子供達ら、非戦闘員すらも攻撃対象。
上空3,000フィート、
凝視しても地上からは見えない。
画面上で吹き飛ぶピクセルは、
爆発による粉塵、
人の肉、
人の血だ。
淡々と任務をこなし、自宅に帰っても物静かなトミー。彼の心が日々罪悪感で擦り減っているのは明らかで、いつも瞳が潤むイーサン・ホークの抑えた演技が良い。
妻とも擦れ違い、遂にキレて鏡台の鏡を割ってしまうトミー。割れた鏡は壊れた心のメタファーか。
トミーの相棒役にゾーイ・クラヴィッツ。
考えさせられるテーマではあるものの、やはり画面越しに見せられる爆破シーンだけでは迫力もなく、ストーリーの起伏も小さいので、やや単調に感じてしまう。
トミーの自宅もドローンからの空撮ショットで度々映し出される。
いつ、彼らから報復があってもおかしくない。この負の連鎖は残念ながら終わりそうにない。