8さん

ドローン・オブ・ウォーの8さんのレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
3.7
アメリカ軍の対テロ戦争で使用されている無人戦闘機ドローンの実態を描いた戦争ドラマ作品。

アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐の赴任地は、中東でもアジアでもない。ラスベガスの基地に設置されたコンテナの中で無人機ドローンを遠隔操作し、1万km余りも離れた異国でのミッションを遂行している。クリックひとつでミサイルを発射する爆撃は、まるでゲームの様に現実感が欠落しているのだ。

1日の任務を終えると、車でラスベガスの歓楽街を通り抜けて、整然と区画された住宅街のマイホームへ帰り、美しい妻モリーと2人の幼い子供との生活に舞い戻る。繰り返されるこの毎日がトミーの日常であり、異常な現代の戦争の姿だった…


『これが、現在(いま)の戦争だ…。』


無線操作によって飛行する無人機ドローンは、今や災害発生地での現状調査、物資の運搬、幅広いユーザーの動画撮影などその用途は多様化されてきている。宅配サービスでの配送も近年ではサービス化される噂も耳にしますね。こういった技術は軍事的なものからのフィードバックによって作られたものです。

今作では自国護衛の為の危険排除が目的と強く推していますが、多角的に見ると女性と子供の様な弱者を避けた規定そのものが、どうなのかと疑問を抱いてしまいます。中には女性や子供に爆弾を持たせ攻撃してくる場面もありますよね。

極秘任務に就く兵士達の苦悩は人それぞれであり、価値観や倫理観そのものによって行動も違ってきます。戦火の内外に関係なく心が蝕まれ我を見失っていく兵士がリアルに表現されている。

今この瞬間も、笑顔溢れる穏やかな時間を守る為に「Good Kill」と言われ地上3000mからのミッションが遂行されていると思うと、何が正義なのか分からなくなりそうです。
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