Tim

ドローン・オブ・ウォーのTimのネタバレレビュー・内容・結末

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます


ご存知でしょうか。
98%の人間は殺人に対して強いストレスを感じるそうです。(残り2%は所謂サイコパス)
で、特に殺す相手を「人間」として認識すると同族を殺す抵抗感から非常に強い、ストレスを感じるそうです。

また、壮絶なゲリラ戦を繰り広げたベトナム戦争から帰還した兵士の多くがPTSDを発症していて、
このPTSDが発症した理由の1つとして、
ときに無抵抗で無実な非戦闘員さえ殺さねばならなかったことがあるそうです。

ドローンオブウォーの主人公イーサンは、画面越しにターゲットを24h監視します。
ターゲットその生活を四六時中見る、
これはターゲットの見極めが目的な訳ですが、
同時に監視を通じて否応なくターゲットを1人の人間として認識してしまいます。
さらに、上からの命令とはいえど、民間人非戦闘員も大勢巻き添えに殺します。
非戦闘員を殺すことは当然ながらただの殺人であり、先ほどの話のように、兵士にとってこういう行為は非常に大きなストレスになります。

主人公がしていること、その感覚は、毎日ベトナム戦争してるのと同じ感覚な訳です。

そんな体験を、ましてや自らも危険に晒された戦場でなく、
1万2000キロも離れたエアコンの聞いた部屋の中で行なっていること、
ついでその辺のサラリーマンのように定時で出勤して
時間になったら帰宅して家に帰ると妻と子供が待っていて普通のパパを演じる、
こんなこと、これ以上に恐ろしいことはありません。

そして追い討ちをかけるように、このお仕事は色んなところから色んな批判を浴びるお仕事です。

毎日家族と会えるそんな環境でありながら、なんたってしていることはただの戦争なので、サラリーマンのパパやママのように家や居酒屋でその日あった出来事、上司の愚痴を吐いたりなんてことはできません。

主人公は大きなストレスを抱えおかしくなっていきます。

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光学迷彩で人が緑のシルエットになったらまた変わってくるでしょう。
科学の発達が精神にどのような影響をもたらすのか、想像できません。
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話変わりますが、
中佐や同僚が我々の職務は「テロから国民を守るため」と何度も口にします。
こうした大義は兵士にとって殺人への抵抗感を減らすための大きな口実になります。
アメリカは多民族国家であり、人種差別的プロパガンダはあまり通用しません。
そのため、こうした正義を掲げて戦うことが多いようです。
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対比

戦地から1万2000キロ離れてる⇔ターゲットを1人の人間として認識できる距離まで近づいて殺す
CIAの命令でターゲット1人殺すために数十人の市民を巻き添えに殺す⇔幾度も女性に性的暴力を振るう男性を見つけてもターゲットでないため傍観するのみ
過酷な戦場に身を置く地上軍⇔エアコンの効いた部屋でコントラーラーを握り椅子に座る主人公
家で待つ奥さんと子供たち⇔容疑者と共に家で眠る家族も殺す
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原題は「Good Kill」
「321assault」→発射→着弾→「splash」→
「GoodKill」

3回言わないのかな
Tim

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