このレビューはネタバレを含みます
大好きです。クリスマスが近くなると絶対に観ています。
1952年、排気ガスの漂う冬のニューヨーク。窮屈に建物が立ち並び人々は常に忙しない。
主人公のテレーズも何かに追われているかのように生きていますが、「キャロル」という1人の女性に出会うことで劇的に変わります。
ラストのシーンで、テレーズが人とテーブルをかき分け、奥の席に座るキャロルを見つけた瞬間に、周りの音が消えて彼女達の心情を表す音楽だけが流れ出す…
まるで先程まで忙しなく動いていた人々や時間が、スローモーションになったかのように2人だけの世界になっていきます。
このセリフのない、視線だけで通じ合うラストが凄く印象的で余韻を残して素晴らしいです。
この映画は「視線」で心を交わすシーンが多いのですが、キャロルのあの揺るぎのない強い自信を持った瞳を前にすると、心を丸裸にされたような感覚になります。これはケイト・ブランシェットが素晴らしすぎる。
ルーニー・マーラも可愛くて素敵…「ドラゴン・タトゥーの女」の時とはまるで別人で初めは気づきませんでした。
ファッションや小物、車や町並みから感じられる当時のニューヨークの雰囲気がたまりません。そしてオープニングテーマが凄くいい。ラブロマンスというよりかはサスペンスのような張り詰めた曲調で惹き込まれます。
同じ同性愛を描いたロマンス映画の「君の名前で僕を呼んで」(こちらは男性同士ですが)と「キャロル」は、あらゆる点でとても対照的な作品なのでセットで観ると良いです。