ホンのシネマ

みんなのアムステルダム国立美術館へのホンのシネマのレビュー・感想・評価

3.5
映画を観ながら一番思ったのは、今やっている仕事のこと。
好き勝手言って全然進まない仕事。
だからと言って、なんの責任感もないクライアント。
今更ひっくり返そうとする権力者。

ただ、こっちの映画の方が大変だと思うのが、それぞれがとにかくアーティスト気質で、それぞれにこだわりがあったり、国民性なのか全く引かないところ!

絶対ヤダこんな仕事!

と、かなり感情移入して観てしまいました。

なので映画自体がどうこうというより、
「とにかく無事に仕事が完了して欲しい」
という祈りに変わり、非常に観ることにくたびれてしまった。

そんな中、唯一の癒し系、アジア館学芸員のメンノ・フィツキ氏。
おそらく仏像マニアな彼は、他の新館長やらアートディレクターやらのきらびやかな見栄えと違い、日本からやってきた仁王像に大切に敬っている。
島根かどこかの廃寺からやってきた仁王像は、美術品ブローカーから買ったそうだが、ネットで調べると怪しい業者っぽい。

信仰の対象だった仁王像が、アムステルダムの地で美術品として大切に扱われる。
日本人としてなんとなくフクザツな心境になるものの京都の大覚寺からお坊さんをたくさん呼び寄せて、開眼式を盛大にやってもらったりしているのを見ると、廃れたお寺で朽ち果てていくよりは良かったのかなあと。
(ちょっと、パフォーマンスっぽかったけど)

三宮の駅が映画の中で映っていたり、
フィツキ氏の純粋な思いを見ると、
どうしても、アジア館に肩入れしてしまった。
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