スティーヴン・ホーキング博士の半生を、妻だったジェーンの自伝をもとに描いた本作。
おおよその物語を知っていただけに観るのを後回しにしてしまっていたが、とても見応えのある作品だった。
二人が恋に落ち、これからというときに病を発症し共に病気と向き合っていく前半から、そんな美談めいた二人の人生がすれ違い崩れていく辛苦を如実に描いた後半。
重い病を抱えた天才と、夫と子供の世話に費やされる妻。
夫婦だから、家族だから、愛しているから、愛していたから。どんな言葉でも言い表せられない複雑な夫婦の在り方に、こちらは観てるだけなのに息が詰まるほどだった。本人たちの1秒1秒の思いはどれほどのものだったのか、想像してもしきれない。愛さえあれば上手くいくなんて綺麗事でしかない。
どんな天才でも正しい人生の答えなんてわからないのだから。
それでも二人にしかわからない一本の道が彼らの間には通っているのを感じるラストだった。
エディとフェリシティ、どちらの演技も素晴らしく、あっという間に世界に引き込まれた。エディは作品ごとにその役そのものにしか見えないのがお見事です。