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What's Up, Tiger Lily?(原題)のROYのレビュー・感想・評価

What's Up, Tiger Lily?(原題)(1966年製作の映画)
3.7
ウディ・アレンの実質的デビュー作(になってしまった作品)

The Lovin' Spoonfulによるサントラ

国際秘密警察シリーズの3作目『火薬の樽』と4作目『鍵の鍵』の日本語音声を、デタラメな英語吹替に差し替えたもの。

ヒドイけど面白い笑

Internet Archiveで鑑賞

■ABOUT
『ホワッツ・アップ、タイガー・リリー』は東宝の映画『鍵の鍵』をウディ・アレンの手によって、台詞を全て差し替え、編集し、さらにラヴィン・スプーンフルの演奏シーンを加えて制作された異色中の異色映画作品。内容は、当時の007に代表されるスパイ映画の周到なパロディとなっている。ウディ・アレンの実質的な最初の監督作品で、現在でも映画評論家等の間では評価が高い名作。(HMV)

■STORY


■NOTE I(Wikipedia)
『What's Up, Tiger Lily?』(『どうしたんだいタイガーリリー?』)は、1966年のアメリカ映画。

東宝の『国際秘密警察シリーズ』3作目『火薬の樽』と4作目『鍵の鍵』を、アメリカの映画監督ウディ・アレンが台詞を全て差し替え、さらに撮り下ろしの場面を加えて、換骨奪胎したギャグ映画として1本に再編集したものである。

三橋達也は「フィル・モスコウィッツ」、若林映子は「スキ・ヤキ」、浜美枝は「テリ・ヤキ」、中丸忠雄は「シェファード・ウォン」、黒部進は「ウィン・ファット」という名に変えられている。

ステレオタイプなアジア人風俗を笑いどころとし、当時の『007シリーズ』に代表されるスパイ映画の周到なパロディとなっている。 内容もフィル演じる国際スパイが、某国で盗まれた「世界最高のエッグサラダの調理法」を取り戻すという滅茶苦茶なものであるが、パロディとはいえ、ウディ・アレンの実質的な最初の監督作品であり、現在でもアメリカの映画評論家等の間では評価が高い。しかしウディ自身はこの作品に触れることを極端に避けていると言われる。

ウディはまた翌年には本国で『007』のパロディ映画『007 カジノロワイヤル』に出演している。

海外ではDVDも発売されているが、日本では製作元である東宝との権利関係の問題などもあり、日の目を見ていない。

■NOTE II(抄訳)
悪党のフィル・モスコウィッツは、完璧なエッグサラダのレシピを探すため、策略家の姉妹テリ・ヤキとスキ・ヤキに遭遇する。

1962年、ロジャー・コーマンはフランシス・フォード・コッポラに映画界での最初のチャンスを与え、彼はトマス・コルチャートというペンネームでロシアのSF映画を作り直した。『Nebo Zovyot (Heavens Call)』を、クリーチャー映画『Battle Beyond the Sun』として作り直したのである。しかし、ヘンリー・G・サパースタインが1964年に日本のジェームズ・ボンドのパスティーシュ映画『鍵の鍵』を『Keg of Powder(火薬の樽)』として公開しようとしたところ、観客がアドリブでひどい吹き替えの台詞を口ずさんでしまったのである。

サパースタインは、7万5千ドルの投資を回収するために、ジェイ・ウォードのテレビ番組「Fractured Flickers」のアイデアを借りることにした。この番組は、ハンス・コンリードがメロドラマ風のサイレント映画をさまざまなアクセントでパロディ風に解説するものだった。なぜウディ・アレンが、谷口千吉演じるプログラマーにコミカルな息吹を与えるのは自分だと思ったのかはよくわからないが、おそらく6万6000ドルのギャラが大きく関係しているのだろう。マンハッタンのホテルの一室で、レニー・マクスウェル(Lenny Maxwell*)やフランク・バクストン()などの仲間と東宝の映画を回しながら、アレンはブレイン・ストーミング・セッションでギャグを考案していたので、おそらく簡単に儲かると思ったのだろう。

(*レニーはウディ・アレンといくつかのコメディを書いた。アレンの『ホワッツ・アップ・タイガー・リリー』では、アレンと共にスクリーンに登場し、主要登場人物のほとんどの声を担当した。その後、アレンの『泥棒野郎』や『スリーパー』で声優を務めた。アレンは、彼が亡くなるまで友人であり続けた)

笑える場面もある。しかし、ジミー・ムラカミが描いたオープニング・クレジットは、アニメーションのウディが、ピンナップの胸の谷間から名前を抜き取るというもので、その中には入っていない。しかし、サパースタインは、ディズニーから逃げた創業者スティーブン・ボサストウから先駆的なUPAスタジオを買収しており、明らかに自分のアニメーションのコネクションを利用する必要性を感じていた。プレイボーイのモデルであるチャイナ・リーが、テレビで彼女のストリップを見るアレンに、無関心と興奮を交互に与えながらからかうというもので、エンディングも同様にダサかった。それよりも、『マンハッタン』のオープニングを先取りした「死は私のパン、危険は私のバター」というルーティンの方がずっと面白い。

しかし、アレンはこの映画を嫌うようになり、サパースタインが他の日本映画の19分(アレンの声は別の俳優が吹き替えた)とラヴィン・スプーンフルの2曲を加えたため、公開を阻止しようとさえした。しかし、『What’s New, Pussycat?』と同様、ウディの否定的な意見は世間の好意的な反応とはかけ離れており、『Tiger Lily』はカルト的なヒットとなった。

面白いところもあるが、アレンのベスト・ライティングではない...そして、その着想の域を超えるのは難しい。

★★☆☆☆

David Parkinson. “Empire”, 2006-07-21, https://www.empireonline.com/movies/reviews/s-tiger-lily-review/
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