イチロヲ

花と蛇2 パリ/静子のイチロヲのレビュー・感想・評価

花と蛇2 パリ/静子(2005年製作の映画)
3.5
美術評論家の夫(宍戸錠)の指示により、パリ在住の画学生(遠藤憲一)のもとを訪れた夫人(杉本彩)が、縛り絵のモデルを引き受けてしまう。団鬼六の同名小説を東映が映像化している、エロティック・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

精力の衰えに打ちひしがれている美術評論家が、「妻に対して、性の歓びを与えることができるのだろうか?」という強迫観念に苛まれる。この時点で、「自分の妻を他人に預ける」という、谷崎潤一郎の系譜を理解することができる。

フランスでロケ撮影しているが、屋外の「パリっぽいところ」を収録しているだけであり、基本的には密室劇となる。現地の主要キャストが一人もおらず、日本人同士の日本語芝居がメインになっている。

股間にスポットライトを当てて、ハレーションを起こす効果が卑猥でステキ。一方、責め手が暴力的になるのは、石井隆の手癖だろうか。寄せては返す、心の機微が感じられないため、「杉本彩の欲情が開花するまでの過程」が随分と乱暴に見えてしまう。
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