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私たちのハァハァのangryaoiのレビュー・感想・評価

私たちのハァハァ(2015年製作の映画)
4.5
授業中、ライブまでの日数を指折り数えて、学校からライブ会場までの動線と所要時間を概算した上で、充分間に合う範囲なんだけど、たとえば帰りのHRが延びるとかの不測の事態をこれでもかと考えることで、当日、事故は起こらないと、暗示をかける。
通学中は、ノイズキャンセリング式イヤホンで、そのバンド以外の音は遮断して、自転車漕ぎながら、人通りの少ない暗闇になったら、口ずさむ。新譜を歌えるようにしとかなきゃ、って、ヘビーローテションだよ!最初は違うかな〜って思ってた曲も、聴くうちにアンセムになるね!
そしてクラスに一人か二人しかいない音楽の嗜好が合う友達にだけ、「フジファブリックのライブ行くんだ」って言って、「いいなー志村」って言われたりして。
チケット代にはそういったことも含まれてたんだよなぁ、、。

フジファブリックを追いかけて、放課後、新幹線に乗って志村に会いに行ったっけ。2008年4月10日。今でも日付を覚えているね。

まず、そんな、自分だけしか満足しないガラスケースに入った一瞬を思い出した。

女子高生は無敵、ってよく言うけど、反面、周りを寄せ付けない高い壁を盾に生きてる者同士でもあるから、溶け合いきれなくて、でも、その一線を越える中央分離帯のことを、あの子たちは忘れないんだろうなぁ。忘れないでほしい。
あの中央分離帯は、タイムラインやトーク履歴には残らない。

そして、やっぱ最強なのは、SNSの描かれ方だなぁ。
ワイドショー的なSNSの描かれ方なんかじゃない、もっと刺々しい、1日2時間以上SNSに触れてる世代に突き刺さるシンパシー。
ビデオカメラの映像が、それがSNS上に無数に転がっているものでもあって、見れちゃうんだよなぁ。2015年に生きているんだなぁ、ほんと。

あと、クリープハイプへの眼差しは、昔からある、ねじれたファン心理を満点に近い勢いで体現してるんだけど、歌声が聞こえた時の、してやられた感触ったら、ない。快感だ!
そうだ、ここでこの歌声の起用は、SNS文化も、ファン心理性も同時に回収していた。かっちょいい!

こんなに大絶賛してるもう一つの理由に、島国・日本なのに成立してしまう稀有なロードムービーにもなってる、ってこともあるね。
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