絶対の客人

私たちのハァハァの絶対の客人のレビュー・感想・評価

私たちのハァハァ(2015年製作の映画)
4.5
邦画として一番好きな音楽映画【自分の事ばかりで情けなくなるよ】の『松居大悟』監督と、ロックバンド『クリープハイプ』が再びタッグを組んで放つ、4人の女子高生のロードムービー♪


ただ注意してもらいたいのが、この映画に【自分の事ばかりで情けなくなるよ】を期待すると大きく肩透かしを食らうことになります。

さっきも書いたように、この映画は<音楽映画>ではなく、あくまで<ロードムービー>なのです。

なので…いや、<なので>というのもおかしいが、4人が福岡を自転車で旅立とうとするオープニングのシーン以降エンドロールまで、一切クリープハイプは歌いません(笑)

この映画を最後まで観た結果、果たしてそれを肩透かしととるかどうかは、ロードムービーという純粋な映画として素晴らしかったかどうか、観た人それぞれの感じ方次第で変わってくると思う。

自分は純粋に素晴らしかったと思う♪

正直言いますと、映画が始まってから中盤のちょっと手前ぐらいまで、「あれー?全然楽曲流れねぇーけど、どうなってんの?」なんて思って観てたのは事実m(__)m

ただ、彼女らの中にある純粋にクリープハイプを愛し、心から東京のライブ会場に行きたいと願う<コアなファン>の感情と、親とか学校とか、そんな息の詰まる現実を抜け出してただ楽しいことだけがしたいと望む<にわかファン>の感情の相違のリアルさが巧く表現されていたこと。

そして、一人称(彼女らの持つハンディカム)の視点と三人称の視点が交互に切り替わる映像も、今まで観てきたそういった類いの映画にあるような不自然な違和感は全く無く、監督の「ここは彼女らを客観的に捉えて見て欲しい」という意図と「ここは彼女らの感情をリアルに感じて欲しい」という意図がハッキリ見えて、驚くほど心地よかった♪

【イントゥ・ザ・ストーム】や【レック3&4】を観たときは、正直このハイブリッドは個人的に全く受け付けないと思っていたけど、作品によって監督によって、こうも印象が変わるのかと驚きました。大好きです♪

この前【アウト・デラックス】に松居監督が出演し、「出演してくれる女優さんをほぼ100%好きになっちまう」って事で、散々Out!Out!言われてたけど、逆にそれが女優さんを魅力的に撮している一番の要因なんじゃないかなと思う。

そんな、4人の女子高生を演じた魅力的な女優さんがこちら…
○一ノ瀬役の『井上苑子(1997年生まれ)』さん
演技未経験。中高生支持率No.1シンガーソングライター。
○さっつん役の『大関れいか(1996年生まれ)』さん
演技未経験。動画投稿アプリ<Vine>に動画をアップし続けている普通の専門学校生。
○チエ役の『真山 朔(1996年生まれ)』さん
『樹木希林』さんと『片桐はいり』さんを目指す女優の卵。
○文子役の『三浦透子(1996年生まれ)』さん
唯一演技経験が豊富な女優さん。驚いたことに、先日観た【ロマンス】のエンディング曲を歌っていたらしい♪

この4人の感情表現と演技(&ルックス)が実にリアルで素晴らしい!
彼女らの今後に期待です♪