むーしゅ

ブロークン・ポイントのむーしゅのレビュー・感想・評価

ブロークン・ポイント(2014年製作の映画)
2.2
 Christian Camargoが監督・脚本を務めた作品。まぁ本人も出てるので、出演もですね。

 元大女優のエリザベスが恋人ピーターを連れて実家に帰省するところから物語は始まり、10人の登場人物(とにかく90分ものにしては出演者が多い)がその家で休暇を過ごすことによっておこる恋愛や様々な歪みの話、なのだろうか。なんといっていいのか謎。見終えたときの正直な感想は、ん?でした。しかしこの作品はロシアの劇作家アントン・チェーホフの戯曲「かもめ」をベースにしているらしい。ここまで来て初めてこの映画の意味がわかり納得。確かに舞台をロシアから米国へ移して、かもめをハクトウワシにしているもののストーリーは完全に「かもめ」。これ「かもめ」を知らないと難解すぎるじゃないか。

 物語のカギとなる人物はやはり、最近映画版パディントンの声でお馴染みのBen Whishaw演じるエリザベスの息子エリック。「かもめ」から考えると、本来面白いのは彼の心情なんだと思うけど、撮り方のせいか、見せ方のせいか、パディントンで疲れたBen Whishawの演技力のせいか、意外と前半では空気キャラになっている。エリック→エヴァ→ピーター、そしてエリザベス、この辺の縺れが面白いはずなのに、なんか結構あっさり。そして一番もて男のピーターをChristian Camargo自身が演じているというこの状況。思わず、「いや、自分がこの役やりたかっただけでしょ」と突っ込んでしまいました。そうではないと信じたい。せっかくJean Renoとかまで出演してくれているのに、なんだろうこの誰得感。なんかとっても俳優の無駄使いにも見える映画でした。

 とまぁいいつつも、作品自体が悪いわけではなく、ただ普通すぎて褒めるところがまぁ無いかなという感じ。自然の情景とかはきれいなので、見ないほうが良いかというとそうでもない、ただ期待するとそうでもない。そういう映画ですかね。ちなみに「かもめ」の代わりに出てくるハクトウワシですが、ハクトウワシといえばアメリカの国鳥。普通映画でハクトウワシが出てくると何か意味がありますが、この作品では全くわからず。。むしろ撃たれるならほかの鳥のほうが良いのではという感じでした。
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