たかくらかずき

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのたかくらかずきのレビュー・感想・評価

3.0
映像すごいしルール設定がよりおもろくなってるけど話があまりにも勧善懲悪なのでなんか90年代思い出した感じ。なつい。

人間がエイリアンでありアバター主観である世界。アバターたちは住む星のあらゆる動植物と並列にコミュニケーションを取ることができて、ケーブルのようなもので繋がることで記憶をシェアする。これはアバターという名前、そして彼らが3Dで描かれていることも含めて『デジタルな存在』のメタファーなのではないか。

かたや人間は侵略者・エイリアンとして描かれ、機械を使いこなすが機械と意思疎通することはできない。これは『物理的な生物』を象徴している。

そして今回は見た目がアバター化する人間たちや、アバターの集団にひとりだけいる人間など現れ、種族とグループのくくりが混同する。『アバター化』するという表現がまさにもう1人の自分、輪廻転生や現代のデジタルなアバターと重なるように描かれる。見た目がアバター化しても中身は侵略者であったり、見た目と中身が混濁して『人間とは?』という問いがより濃く出てくるような作りになっている。外見と中身がバラバラになる。これすごくメタバースっぽい感じ。アバターは語源である『アヴァターラ=神々の使い』としての意味合いも強まっており、他の生物を操ったりという力も現れる。

こんなにもルール設計やメタファーに散りばめられてるのに!それをつかって描かれるストーリーがめちゃくちゃ勧善懲悪で90年代から全く変わらないジェームスキャメロン。こんなにもメタファーに満ちてるのに!?それで導き出す結果が結局それなのか!?旧来的な白人男性的価値観を揶揄して駒を前に進めようとしているはずが、結局青い人たちが同じことして悪い奴を懲らしめるだけのストーリー!むしろこんなに色々散りばめたのにストーリー古臭すぎて超すごい。ジャンプでも今どきこんな『ただの悪者』出てこない。

映像は最高です。3D映画のために作ってるなぁ。目が全然疲れなかった。

色々複雑で不思議なバランスの映画
たかくらかずき

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