いじめを苦に自殺した同級生の遺書に「親友」と書かれていた少年。
それほど親しくなかった自分になぜ彼は「親友」と書いたのか。
重松清原作のいじめ自殺をテーマに、残された者の背負う十字架を描いた作品。
原作は未読なのですが、重松清の作品は色々と読んでいるファンです。
重松清は人の複雑な心境、心理描写を表現するのが上手く、どれもハッキリした答えだったり大団円を迎えるような展開ではないのですが、その辺がリアルで共感しやすいのが作品の特徴のように思います。
ただ残念ながらこの映画ではあまりリアルさを感じられませんでした。
小説は文字による言葉での表現が巧みで胸を打つ分、映画は説明や言葉が少ないのであまり映像化には向かない作風なのかも知れません。
遺族である母親の心境は「なんでそんな事言うんだろう?」と特に理解が難しかったです。
原作だともう少し細かく描かれてるのかな?
そしてリアル感に欠け感情移入できなかった1番の原因は何より役者ですね...。
当時30歳を超えた小出恵介は体格も肌質も声もどう見ても中学生ではない。
14歳から大人になるまでの物語とはいえ、中学生時代は子役にやらせて下さいよ。不自然さが気になり集中できず。
テーマは好きなジャンルだっただけにちょっと残念でした。
重松作品でも「とんび」や「流星ワゴン」はドラマも高評価だったので撮り方、役者によってはもっと良くなったのかも知れません。
原作は読んでみたくなりました。