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グッドナイト・マミーのkuuのレビュー・感想・評価

グッドナイト・マミー(2014年製作の映画)
3.7
『グッドナイト・マミー』
原題 Ich seh, ich seh.
製作年 2014年。上映時間 99分。
美容整形により人格まで豹変した母親の正体を疑う双子の少年が引き起こす惨劇を描いたオーストリア製サイコスリラー。
鬼才ウルリッヒ・ザイドル監督の妻で同シリーズの脚本にも参加したベロニカ・フランツと、彼女と2度目のタッグとなるセベリン・フィアラが共同監督を務めた。
母親役にスザンネ・ベスト。
役者には脚本が渡されず、映画は時系列で撮影されたそうです。

森と畑に囲まれた田舎の一軒家で母親の帰りを待つ9歳の双子の兄弟。
ところが、帰ってきた母親は顔の整形手術を受けており、頭部が包帯でぐるぐる巻きになっていた。
さらに性格まで別人のように冷たくなってしまい、兄弟は本当に自分たちの母親なのか疑いを抱くように。
そして正体を暴くべく彼女を試しはじめるが、その行為は次第にエスカレートしていく。。。

今作品のプロットは、カプグラ症候群(別名:ソジーの錯覚)に似ている。
この症候群を経験した人は、自分の知り合いや認識している人が偽者にすり替えられたという不合理な信念を持つようになる。
因みにカプグラ症候群てのは、モノの本によると、友人や配偶者、両親その他近親者などが、瓜二つの外見の別人に入れ替わってしまったと誤認する妄想で、 誤認の対象は人物以外にも場所、物体、時間など様々なものがある。
症状は一過性であることもあれば、繰り返し出現することもあるそうです。
扠、今作品ですがは、9歳の双子の男の子とその母ちゃんが暮らす、孤立した湖畔の家を舞台にした最小限のキャストで作られた映画でした。 
最初はスローな展開やったが、後半からどんどん加速し、最後は力強く終わる。
ナレーションはシンプルで、ラストもありきたりは否めないが、サプライズを提供することを苦にしません。
ひねりについて話す前に、いくつかのことをクリアしておく必要があるが。
まず、ホラーってのは何か。
悪魔やVAMP、はたまた狼男か。
幽霊や他の不気味な生き物、ゾンビのようなモンスターか。
エクソシストとエクソシズム、若しくはお化けが出る場所や物なんか。
今作品の恐怖はホラーとも呼べなくはないが、これは実際のホラーじゃなく、スリラーかな。
映画紹介によって説明の仕方が違うが、今作品は、ストーリーや登場人物にまつわるディテールが型破りであることを除けば、それらとそれほど大きな違いはないとは思います。
今作品は、シーンの多くを注意深く観察すると、ストーリーテリングは、最初の10分以内にひねりに等しいヒントを与えて始まる。
それを正しく理解しないと、その後のナレーションが面白くなくなるかなぁと。
実名で画面に登場する双子もさることながら、ウルリッヒ・ザイドル監督の妻の巧みな演出デビュー作。
強烈な恐怖を与えてくれたが、グロさは抑えてるかな。
台詞が少なく、演技に重きを置いているのも個人的には好感が持てたし、かなり珍しい映画と云えます。
ただ、結末の後エンドクレジットの前(またはクレジットに沿うように)に出てくるシーンは個人的には要らないかなぁ。 
それ以外はほんと嵌まった作品です。
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