顔の整形手術後、別人の様に豹変した母を名乗る女と、その正体を疑う双子の兄弟の静寂の中に渦巻く謎の恐怖を描いたサイコスリラー作品。
郊外の大きな一軒家に住む9歳の双子の兄弟。ルーカスとエアリスは好奇心旺盛で、兄弟の仲も良く自然に溢れた自宅周辺で遊んでいた。
顔の整形手術を受けて帰宅した母親は、顔を包帯で覆っていてその素顔を見る事は出来ない。暫く過ごす内に、ある疑問が浮かんでくる。
「本当のママじゃないかもしれない」
疑いは次第に大きくなり、ママがママなのかを確認していくルーカスとエアリスは疑問を拭えないまま…
『僕らのママを返して』
音楽を使用しない本編は、静寂と3人が暮らすデザイン豊富な家に、不確かな安心感と何が起こるのか分からない期待感に満ちており、冷たい空気が恐怖を煽ってくる。
ポスタービジュアルにもある通り、劇中にはあの生物が登場します。デザイン性のある美しい描写に、鳥肌が立ち嫌悪感のあるあの生物が出るシーンは、今作でも注目するひとコマであり虫嫌いな方にも是非観て貰いたい。
包帯の中身が分からないママは、エアリスとルーカスにとっては本当のママを奪った恐ろしい存在の包帯女であり、ママの欲望が生み出したこの事件は日常生活での親子の関係を深く描いていると共に、真実を覆い尽くした包帯の仮面は、美は疎か存在を脅かす布切れにだった様に思える。
