140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ボス・ベイビーの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ボス・ベイビー(2017年製作の映画)
3.8
”俺たちの未来”

「赤ちゃんなのにおっさん!」という万人向けのウケを狙ったキャッチコピーはさておき、幼き兄が弟の誕生により愛を自然の摂理において失っていく”アーリーエイジ・クライシス”を、ファニーな赤ちゃんヴィジュアルとスタイリッシュポップな絵の移動は期待通りに楽しい。主人公の妄想癖を投影したアクションシーンの連続はアニメーションの演出としての伝導率が高くとにかく楽しい。特にクライマックスバトルにおいて妄想のファンタジーをオーバーラップさせる演出に思わずブルっとしてしまった。ただアクションシーンや演出が連続的にスピード感があり、テンポが良いというよりも、つるべ打ち感がマイナスな印象で、ハイエモーションなクライマックスが肥大化してしまった印象。嫌悪→共闘→和解→成長とバディアクションとしてのマナーはしっかり踏みながら、赤ん坊の上司キャラというハードルを落とした戦略は概ね成功しているが、ヴィラン側の魅力や、ミッションクリア条件が提示されなかったため、アクション×友情のジャンル映画としての枠に収まってしまった感はあった。個人的にはドリームワークス作品がイルミネーション作品のようなキャラ売りをしているようで何か釈然としていないのだが、2人の兄弟愛が”仕事”というなの責任感の牢獄を破壊する気持ち良さに嘘はない。