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ブリッジ・オブ・スパイのMSTYのネタバレレビュー・内容・結末

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ソ連の捕虜となった自国の兵士を救うために活動するアメリカの弁護士を主人公に据えた人間ドラマ。スパイを題材とした映画ですが、派手なアクションはありません。淡々と物語が進行しますが、出演している演者たちの渋い演技が非常に魅力的です。

弁護士ジェームズ・ドノヴァンとソ連のスパイであるルドルフ・アベルとの間で徐々に築かれる、ある種の「信頼関係」。この描写が、時間をかけてなされています。

物語の途中で、東西対立の激しいベルリンで捕らえられて政治的駆け引きの材料に使われてしまったアメリカ人大学院生フレデリック・プライヤーは不運と言わざるをえないです。政治に携わる者から見れば、「もう少しのところで問題が解決しそうだったのに、こいつのせいで余計にややこしいことになった」などと怒りを感じるかもしれませんが、別に彼に罪があるわけではありません(あのように切羽詰まった条状況では慎重に行動するというのは、よく訓練された者でもない限り難しいでしょうし)。根源的には、戦争状態がこのような不運を彼にもたらしたのですから、結局は戦争が悪いのです。

この映画では直接的なバトル描写はありませんが、むしろそれによって、戦争の残酷さや悲惨さが強調されているように思いました。
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