クマーティKST

イニシエーション・ラブのクマーティKSTのレビュー・感想・評価

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)
3.8
乾くるみの恋愛ミステリー小説『イニシエーションラブ』の実写化。
原作を読んでいたので内容を知った上での鑑賞。
ネタバレにならないように注意しながらレビューしますが、原作未読の方はなるべく前情報なしに鑑賞することをオススメします。

正直『チャッピー』の前座のつもりでがっかりすることを前提に観に行ったけど、意外によくできていてびっくりした!満足!

デブで恋愛経験のない大学生の鈴木は人数合わせのために合コンに誘われ、そこで出会った歯科助手のマユと運命的な出会いを果たすー。


「あなたは必ず、2回観る。」 というキャッチコピー。原作小説も「二度読み必須の傑作ミステリー」という帯付だった。こういう宣伝がなければもっと楽しめるんだけど、見てもらうためには仕方ないんだろうなー。

実は私はこの原作小説をあまり好きじゃないです笑 小説としてのトリックはうまくてまんまと騙されたけど、ラストまでが退屈すぎた。特にB面が退屈すぎる。シックス・センス、ショーシャンク、スティング等の名作のように、最後までがおもしろくてそこからさらに衝撃が待っている、という作品ではない。それでも実写化不可能と言われるその小説としてのトリックをどうやって描くのかが気になったため観てみたわけです。

ヒロインの前田敦子は原作のイメージとは合わないし演技もうまいとは言えないけど、まぁこれはこれでありって感じ。 キスしまくってたけど元AKBファンで前田敦子推しだった人はどういう心境でこれ観るんだろう・・笑 最後のなんとも言えない表情はすごく良かった。
もうひとりのヒロイン役の木村文乃は前期ドラマの「銭の戦争」の準ヒロイン、今期ではなんと「マザー・ゲーム」の主演と最近人気!大人なお姉さんって感じで個人的には結構好きな女優です。今回も結構イイ女性の役やってます。

入場時に「映画とは違うエンディング!」と書いた原作小説宣伝のチラシを配られたからやっぱり結構改変してるのかとがっかりしてたんだけど、観てみたらほぼ原作通りで安心した。追加されているのは、実写化を成り立たせるために必要なシーンと原作エンディングのその先のシーンのみ。かなり上手い工夫だったと思う! 観ていてなるほどと感心しました。
原作で退屈だったストーリーも実写で見るとすんなりと入っていけて、80年代の音楽やファッションとともに楽しみながら観ることができた。

『イニシエーション・ラブ』の実写化として、これ以上のものはないと思います。
絶対ネタバレを聞かずに、そしてトリックを見破ろうなんて気張らずにストーリー自体を楽しもうという気持ちで鑑賞することをオススメします。

P.S.
○前田敦子が先月出した『前田敦子の映画手帖』にはディズニー、アメコミなどの人気作からゴッドファーザー、羊たちの沈黙などの超名作、メイジーの瞳などのマイナー作品までたくさんレビューしてて結構すごい。内容はたいしたことないけどこんだけ映画見てる女子っていいと思います!(※全然ファンじゃありません笑)
○堤幸彦監督作品は『BECK』といい『トリックラストステージ』といいひどいものばかりなので、はじめておもしろいと思えた作品。ある意味期待を裏切られた。
○乾くるみの小説なら『リピート』の方が好き。ケングリムウッドの『リプレイ』とクリスティの『そして誰もいなくなった』を意識したタイムトラベルミステリー。