おおさこ

痴漢日記3 尻を撫でまわしつづけた男のおおさこのレビュー・感想・評価

4.0
〝ダ・ヴィンチも痴漢するのか問題〟

正直タイトルにキツイものがあるけど、過去にラピュタ阿佐ヶ谷でVシネ特集があった時に、プログラムに組み込まれていたから、思い切ってレンタル。
面白くなくても90分で終わるし・・・と、かなりナナメから観始めたけど、これがめちゃくちゃ面白かった!騙されたーー!!

大林監督作品で有名な小尾としのりさんが、高校の美術教師役です。彼は、毎朝の満員電車の中で見かける一人の女性に、特別な感情を持っています。触りたい、感触を確かめたいと。彼の授業での教えは、「物体というものは、実際に触って感じてこそ、実体が掴めるんだぞ」、というものです。つまり、ダ・ヴィンチがより正確に人間を描く為に、人体を解剖し研究したのと、同じ動機なのです。まぁ、動機が何であれ、痴漢ダメ絶対、ですけどね。
この二人以外には、女性の元彼と、美術教師の教え子が絡んできます。女性と元彼の微妙な関係と、先生にグイグイせまる教え子に、話がどう収束するのか全然読めずに、ヤキモキして魅入ってしまいました。
撮影や編集のリズムも落ち着いて、丁寧に感情を切り取っていく印象。教師と女性の視線が駅のホームで交わるシーンは『キャロル』か!って位の美しさ。朝方に自転車を2人乗りするシーンもあって『キッズリターン』や『耳をすませば』なみに胸にグッとくる瞬間になってました。他にも上手いわぁーと、膝を叩きたくなる台詞や演出が随所にあります!

タイトルは3となってるけど、全くもって独立した、一見さんウェルカムスタイルの作りになってるので、どうぞご安心を。最高に清々しい余韻に包まれる事間違い無しです。
鑑賞後に特典の予告を観たら、本篇とは180度違うゲスーーーーい作りでビックリ。こちらは先に観ないようにご注意を。