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ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画のJIZEのレビュー・感想・評価

3.8
【WATCH作品No.74】
副題『ダム爆破計画』を下敷き部分に据え,慈善団体3人の善悪境目を追尾した構成は環境映画に陥没せず優秀。山々に周囲されたオレゴン州を軸に,悪しき人間達が犯した計画犯罪を乱す事なく静寂風味に描き世界観投影を悲観的に映し出す。ある事象を機に場面が転調し善意に対する意義を抉る構成もいい。
彼ら3人の既存理念とし,同じ目的意識を掲げ遂行を果たす仲間でも,秘密厳守に絶対的信頼は虚無で理性が狂気に変色し末路に..の魅せ方が,人間自身の脆さ体現や行為自体の曖昧さを俯瞰的にも自明させ象徴した図らずも本質の核部分を揺るがす展開運びは,社会風刺を唱える上で重層的な構成だと思う。
総評。悪因は不正を取締る警察側の"動向"が会話上処理や検問を通じ軽調風味な荷物検査,TVニュース等,抽象化し過ぎて彼ら3人の犯罪を追い詰め終焉を末路提示させる上で否めない。警察側を脇役扱いに施す事で,善視点の真の意義が開示されず末路を濁すのは犯罪自体を製作側が幇助する行為と同様。社会保障カードを巡り,小売店で硝酸アンモニウム肥料を購入する為,店員と口論する描写も,割愛描写な印象。作戦仲間エドの扱いも関係性の緻密さを削ぐ意味で中盤以降極めて雑。
良因は『ソーシャルネットワーク』マーク役と比較し口数や頭脳明晰面にしろ,全て真逆な役回り設定箇所。是非,オススメです!!
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