Mikiyoshi1986

友情のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

友情(1974年製作の映画)
4.0
2月23日はフランス映画の中でも特に大人な雰囲気で詩情的な作品を残した巨匠クロード・ソーテ監督のお誕生日!
生きていれば今日で94歳に。

74年にジャン・コクトー賞を受賞したソーテ監督の代表作『友情』は、
当たり前のように日常に存在する友情の姿を淡々と描いた傑作であります。

原題『Vincent, Francois, Paul et les autres』(ヴァンサン、フランソワ、ポール&その他)の通り、
休日には旧来の親友たちが集って子どものようにふざけ合い、
それぞれの苦悩や葛藤が見え隠れする日常生活を切り取った人間ドラマ。

その主軸となるのは激渋な哀愁を漂わせるイヴ・モンタン演じるヴァンサン。
モンタンは個人的にメルヴィル作品『仁義』の役柄が印象的ですが、
同じくメルヴィル作品『犬』で共演したピコリがフランソワ、レジアニがポールを演じ、
前年『バルスーズ』で名を上げたばかりのドパルデューがその良き後輩を演じます。

また『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』ではピコリと共演したステファーヌ・オードランがヴァンサンの別居妻、
マリー・デュボワはフランソワの不貞妻を好演し、
この豪華なキャスト陣で綴られる大人たちの何気ない絆は自然と観客たちの心を奮わせるのです。

仕事もプライベートも健康もドン底な男ヴァンサン。
妻の不貞に苛立つ開業医フランソワ。(ピコリは妻を寝取られる役が本当によく似合う)
スランプから抜け出せずにいる作家ポール。
ヴァンサンの工場で働くボクサーのジャン。(この頃のドパルデューはまだめっちゃ良い体躯)
ヴァンサンと別居中の良妻カトリーヌ。

男の友情を敢えてドラマチックに描かないことで、その絆の美しさを際立たせた本作は当時のフランス映画だからこそ演出し得た美徳の権化とも云えるでしょう。
Mikiyoshi1986

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