まっどまっくすこーじ

ロック・ザ・カスバ!のまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

ロック・ザ・カスバ!(2015年製作の映画)
3.2
新宿シネマカリテの今年のカリコレは観たい作品がありすぎだけど、その中でも特に観たかった作品の一つでした。

ビル・マーレイ主演ということでコメディではあるのですが、ジェンダーによる差別というテーマを描いた作品になっております。


お話はアプリのあらすじ欄にあるとおりですが、舞台がアフガニスタンなので、よくあるオーディション物とは些か雰囲気が違う展開になっております。

うらぶれたマネージャーのリッチー(ビル・マーレイ)は偶然見つけた類稀な歌の才能を持つパシュトゥーン人の娘を「アフガン・スター」という人気のオーディション番組に出させようとしますが、パシュトゥーンの厳しい戒律の中で女性が人前で歌うなんてことは前代未聞…

しかしそこを悩みながらも実現に向けて足掻き続けるリッチーに、同じくうらぶれたオッサンの私も移入したかったのですが、何故か今一つ乗りきれない…

やはりビル・マーレイのイメージが「ゴースト・バスターズ」になってしまう私には、コメディながらもテーマが重い本作ではちょっとビル・マーレイの持ち味である突き抜け感を観ることはできませんでした。

しかしそこをカバーしていたのが、うらぶれた傭兵のボンベイ(ブルース・ウィリス)!!(*^^*)
やはりブルース・ウィリスが出るだけで画面にハゲが…いや違った、画面に華が生まれます。

ただ、本作のブルース・ウィリスは撃つことは撃ちますが、そんなにダイハードではなく、あくまでも脇に徹しています。

また、歌姫もなかなか魅力的だし、タクシーの運ちゃんは良い奴だし、娼婦のケイト・ハドソンも妙に存在感があるし、ズーイー・デシャネルは「おいおい…(((^^;)」っていう感じだし、というキャストがビル・マーレイを盛り立てて…いや、振り回しています(笑)


本作は音楽を軸にした社会派アクションコメディという感じですが、この各ジャンルの配合の微妙な匙加減をとっているのが監督のバリー・レヴィンソン。

今までの作品を挙げると
「グッドモーニング、ベトナム」
「レインマン」
「ディスクロージャー」
「スリーパーズ」
「ワグ・ザ・ドッグ」
「スフィア」……いや、これはいいか…(*_*)

とにかく名匠ですな。
中でも「レインマン」と「スリーパーズ」は本当に名作だと思います(*´ー`*)

だけど、そのバリー・レヴィンソン監督作品にビル・マーレイとブルース・ウィリスやズーイー・デシャネルも出ているのに拘わらず、カリコレのみの上映というのは寂しい限りです…

まあ、派手さはないしお伽噺のようなカタルシスもなく、ときどき端折ったような話の展開なので配給が慎重になってしまったのでしょうね。

ただ、本作は実は実話をモチーフにしています。
本当に「アフガン・スター」という番組があり、それに勇気を持って出場した女性がいたのです。
イスラム教圏の国々の、特に女性への戒律の厳しさは私も知ってはいるけどあまり深く考えたことはなかったのですが、本作を観ていて様々なことを考えさせられました。


タイトルの「ロック・ザ・カスバ」はクラッシュのナンバーから取ってますが、カスバは中東ではなく北アフリカのアルジェリアの街の名前です。
ただ、アルジェリアはイスラム教の国というのと、この曲が作られた背景には直接的に出してはいないものの、当時のイランでロックが禁止されていたことからの影響があったと言われているので、そこから本作のタイトルに使われたのではないかと思います。

それにしてもこの曲は台詞には出てくるものの、本編では流れてないようでしたが…聴き逃したのかなぁ…(;´д`)
でもエンドロールでも見かけなかったと思うんですよねぇ…(。>д<)
もし違っていたらご指摘下さいませ~♪(^^ゞ

70'sや80'sの音楽ネタが私の世代にはかなり笑えたので良かったけど、若い方には訳が分からない笑いかも知れません…(>_<")
でもビル・マーレイが「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を激唱してたのはほんとに笑えた~♪(*≧∀≦*)

うらぶれた監督の、うらぶれたオッサンキャラ達による、私のようなうらぶれたオッサンオバサンのための作品だと思います~♪(*´ω`*)