3度にわたりオリンピックのインド代表選手として活躍した陸上競技選手 ミルカ・シンの半生を描いた伝記映画。
伝記映画なためか、いつものインド映画よりかは落ち着いた印象を受けました。それでも歌や踊りはちゃんと盛り込まれており、インドらしさはしっかりと残っております。
1947年のインド・パキスタン分離独立に巻き込まれて家族を失う という酷な経験をし、ゴロツキとして生きてきた少年が軍隊に入り、そこから陸上選手として開花していく というシンデレラストーリーとなっておりますが、これが実話だっていうんだからスゴい。作中の描写のどこまでが本当にかはわかりませんが、裸足で走ったり、足の裏に石が刺さったりしてる状態であれだけの走りができるなんて、彼の身体能力が如何に高いかが伺えます。
演出が全体的にちょっと諄すぎる気もしたんですが、それによりただでさえドラマチックなストーリーがより映えていたような気もしました。
日本公開版を観たのですが、約150分とめちゃくちゃ長いって訳ではないんですが、もうちょいコンパクトにもできたのではないかと思う部分もありました。恋愛パートとかは結果から見ても省いてもよかったんじゃないかな と思いました。原作が自伝になっているためかもしれませんが、この映画としてはミルカの生い立ちから選手として開花するまでの部分だけでも十分なものに仕上がっていたのかなとも思います。
そういえば、日本での大会の時に日本人選手で武井壮が出ててビックリしました(笑)。
時代に翻弄されても負けずに走り続け、打ち勝ったミルカ・シン。そんな彼の姿に勇気がもらえる作品です。
調べたところ、彼は2021年に新型コロナウイルスによる合併症で亡くなっているそうで、91歳と長生きではあったものの、ここまでの実績を残した人がそんな最期を迎えたというのが残念です。
