むぅ

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのむぅのレビュー・感想・評価

4.1
「だったら、よっぽど私はアイアンマンとキャプテン・アメリカの仲裁したいわ」

幼馴染がやっているバーで友人カップルと3人で飲んでいた。
そこにヒーローがいるから敵が出てくるのか、敵がいるからヒーローが生まれるのか、ヒーローものなるものを観始めたばかりの私には"鶏が先か卵が先か"感があるのだが、酔うと必ずと言っていいほど喧嘩を始めるこのカップルの順番は明白。
"泥酔から始まるシビル・ウォー"
トニーのアイアンマンスーツのように、キャプテン・アメリカの盾のように"酒癖の悪さ"を装備して戦いが繰り広げられる。

この2人の素晴らしい点は、翌日喧嘩の内容は忘れていても喧嘩に巻き込んだ人は忘れていない点。
アベンジャーズで問題になっている無関係の人を巻き込まないための昭和感溢れ出る「ちょっと表出ろ」という台詞で一応外で戦いを始める点。

アベンジャーズほどに見応えのある戦いが繰り広げられるのなら、見物しようかとも思うが所詮痴話喧嘩なので
「表出ろ」
のくだりに被せて
「おかわり」
と言ったところ、幼馴染が私のウーロンハイを作りながら言った。
「あれ、ほっといていいんか?」
「仲裁に入ったとて止まらん。しかも仲裁された事は覚えてるからお詫びにご飯奢る!って呼ばれて、飲んで、また喧嘩ってループになるから」
そこまでにMCUマラソンをしていて、という話をしていたのでお隣にいた青年が呟いた。
「...マルチバース!」
「やめて!笑」

こんな事を書きつつも大好きな2人の"泥酔シビル・ウォー"には全く心は動かないが、トニーとキャプテン・アメリカのそれぞれの物語を見守ってきた身としては両者の気持ちがわかるので、なかなかに苦しい。
2人きりで話し合えばもうちょっと違うストーリーを描けたのかもと思ったところで、やっぱり人様の揉め事にはなるべく首を突っ込まないことだなと妙な納得感を得た。

「昨日ごめん」
「慣れてるから大丈夫。仲直りしたんでしょ?」
「うん。お酒って怖い」
「怖いのは酒じゃなく、酒癖な!」
「それな!」

トニーとキャプテン・アメリカもこれくらいのカラッとした温度感であれば良いのだけど、そうもいかなそうで続きが気になる。
むぅ

むぅ