nicky

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密のnickyのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

生きてて良かった!!!
ありがとうJKR、ありがとう魔法世界。
仕事と社会情勢に振り回され映画館に行く気力とタイミングを失っていたのですが、念願叶って2年ぶりに映画館へ行きました。マジで生きてて良かった。
ファンタビ3を映画館で観れたこと幸せに思います。

たぶんあと3回は観ないとダメだけど、初見の感想。
(以下、HP1-7/FB1-のネタバレあり)

グリンデルバルドのキャスト変更は全く気にならなかったな。むしろ、想像していたのは今のデルバルドに近いのでヒリヒリした。前作でダンブルドアの手へと渡った血の誓いのペンダント。互いに闘うことを考えただけで身体を締め上げるヤバい産物を平気な顔して身に付けていたグリンデルバルド、やっぱり重いね。重すぎる。去り行くアルバスへ叫んだ「誰がお前を愛するというのか!(もう誰もお前を愛さないぞ!)」の "お前" はアルバスではなくグリンデルバルド自身であり、そこに気付いているのかいないのか、揺らいだグリンデルバルドの表情が愚かで狂わしい。

キリンの選択を拒否したアルバス・ダンブルドア、他人の幸せを数十メートル手前からそっと見届けそっと立ち去るアルバス・ダンブルドア、あまりにもイメージ通りで泣いた。あの夏に結んだ誓いが、あの夏の悲劇の再現で破られるという運命的で皮肉な展開。1945年の最後の決闘が気になってしょうがない。
 
兄であるアルバス・ダンブルドアと一緒に母親の膝の上で秘密と嘘を覚えた男、アバーフォース・ダンブルドア。ミネルバに失礼を働いたらしいが、ミネルバが許しても私は許さないです。兄が憎いし文句タラタラだけど秘密基地(避難場所)と食事を提供しちゃうようなところは昔からなのね。子どもがいた、というのが生々しくて凄い。後付けだったとしても妙な納得感があって生々しい。もっと掘り下げて欲しい。
 
辿々しく "共通の友人" "リーダー役" やってるニュートを見守るテセウスは只のお兄ちゃん。だけど相変わらず不憫で、そういう所が好きです。今回は攻撃呪文をバチバチに繰り出す闇払い局長が観れて良かった。前作でリタを失った訳だが、所々で感じる喪失感と怒りの描写はもっと時間があれば丁寧に描かれたのかな。ドイツ闇払い局局長ヘルムート、君のことももっと知りたい。
 
今作のヒーローはヒックス先生だね。ラリー優勝。理知的で読書家、垣間見得る芯の強さとユーモアセンス。ダンブルドアも認める防衛術の使い手で呪文学の権威。惚れる。周囲の物を利用した余裕ある戦闘スタイルが画面に映える。羊皮紙の階段はポッタリアンの夢じゃない?ティナとの共闘を見たかった。
 
ユスフ・カーマの描写は不完全燃焼。最後の選択と派手な戦い方は彼の本質なんだろうけど、そこに至るまでの過程が流石に雑すぎ。
 
現実世界の歴史(我々の世界の歴史)はノーマジであるジェイコブに投影される。今作は1930年代前半が舞台だが、活気のないジェイコブのパン屋からはアメリカを中心に襲った世界恐慌による影響が想像できる。それに呼応するように、クイニーと違えたジェイコブ自身の心も暗い。ノーマジ世界の歴史はどんどん暗くなると分かっているため、彼の今後も心配になる。
 
正直さが取り柄のニュート・スキャマンダー。ダンブルドアに珍しくお世辞を使って「私を失望させないでくれ」と言われるあたり、関係性が恩師教え子から友人に変わってきた印象。魔法動物達の出番が少な目なのもあり、今回のニュートは周りの濃い人達に埋もれ気味。次作こそドラゴンと若かりしハグリットとの絡みが観られると期待してるよ。
 
バンティ、貴方は絶対死んじゃダメだからな。生きろよ。生きろ。

私の大大大好きなミネルバ・マクゴナガル、今作にも出た。今作の年代にミネルバは生まれていない可能性が高く、生まれていても成人はしていないはずなのにホグワーツで教師やってる不思議。彼女はホグワーツで働く前に魔法省に勤めていたらしいので、魔法省時代にダンブルドアやニュート等と関わりタイムターナーでタイムスリップしている説を信じている。チェス最強のマクゴナガル先生がタイムトラベラーだったらと想像するだけでワクワクする。猫に変身できるので、猫の姿で暗躍してたりして。

作中、ダンブルドアから贈られた "本" を見てラリーが言う。
「本さえあれば世界中を旅できる、ってね」
これが小説だったら、と思う部分が幾つもあった。小説だったら、アバーフォースの語りが1章分あっただろうし、クイニーの物語は2章分あっただろうし、ユスフの話は巻を越えたはず。ティナもチームに加わっていただろうし、小説なら感染症の影響も受けないから舞台はブラジルのまま、世界中の闇払い事情が明かされたかもしれない。JKRの書いた原案は設定の情報量がえげつないだろう事が想像に容易いので、正直なところ小説も書いて欲しい。
でも、映画にだって観れば世界中を旅できる力がある。精巧な衣装と美術品、壮大なCG映像と音楽で私は完全に魔法世界に居た。
どんな形であろうとファンタスティックビーストのシリーズが続いてくれる事を願っている。
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