さすらいの旅人

心が叫びたがってるんだ。のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
4.0
言葉の大切さを描いた青春アニメ作品。WOWOW録画視聴。

日本アニメの素晴らしさを再認識した作品。
総作画監督は「君の名は」「天気の子」の田中将賀。生き生きしたキャラクターと細部までこだわった田舎の風景描写にはただただ感心する。
また「あの花」の脚本家岡田麿里は、傷を抱える高校生の感情表現を上手く描いた。そのキャラクターごとの感情表現は自然体で私は好きだ。

本作は幼い頃ある事がトラウマになり、上手く言葉が話せなくなった高校2年生の成瀬順と同じクラスの少年・坂上拓実、野球部の元エース・田崎大樹、チアリーダー部の優等生・仁藤菜月の4人を中心とする物語。
4人は自分の本心をそのまま伝えた方がいいのか、それとも心の中に留めておくべきなのか、それぞれ思い悩む。

私の好きなシーンは、ラストで成瀬順がしゃべれない呪縛から解放され、坂上拓実に自分の本心を思いっきり話すシーン。
今まで思い悩んで来た葛藤が一気に解放され、それは相手にも衝撃的に伝わり心を動かす。そして、坂上拓実も本心を告白することになる。
この一連の流れが、暗闇の中のステンドグラスを背景に泣けるのだ。

あと、本作の成功は声優に若手人気俳優ではなく、プロの声優を起用したことに尽きる。感情のこもったリアルなセリフはさすがだ。