ユウ

Rain For The Dead 雨あがりの君のユウのレビュー・感想・評価

3.4
原作漫画を読んでから観た。
内容は大幅に肉付けされており、(そもそも原作は十数ページ程度の単発漫画)受ける印象はだいぶ異なる。

ゾンビの溢れた世界で、作中登場する生者は主人公のみ。
その主人公はゾンビ化した恋人を自宅に監禁、飼育している。

この作品のゾンビはほとんど従来型のよくある感染タイプのゾンビだが、唯一の特徴として、嗅覚に頼って活動するらしく、雨の日には生者への反応が鈍感になる点がある。
そのため、主人公は雨の日に食料品や日用品を調達しに外出し、(おそらく)生肉しか受け付けない恋人の食事もこの時に手に入れる。
また、映画版では頭部を破壊しなければ活動を続けるという設定が明言された。(原作でもそう受け取れるシーンは一応あった)

映画全体としては、ゾンビ化した恋人の扱いに困惑、動揺するシーンと、過去の平穏な日常へ思いを馳せるシーンが多く、怖い映画ではなく悲哀に満ちた作風である。
とはいえそもそも原作がグロ漫画家の作品であったため、ゴア表現は容赦がない。
ゴアてんこ盛りなシーンを淡々と日常として送る主人公はかなりのインパクトを残した。
そして画面が暗かったりしないので、ガッツリ見せつけられる。

容赦ないゴア表現と、悲哀に満ちたラブストーリーというなんとも総評を書きづらい映画であるが、個人的には好みの作品だ。70分という超短尺な点が少し気になるものの、原作の短さを考えればこの辺りが限度かと思う。


ちなみにラストは原作とは立場が逆になっている。
ユウ

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