Sari

合衆国最後の日のSariのレビュー・感想・評価

合衆国最後の日(1977年製作の映画)
3.6
泥沼のベトナム戦争が終結した数年後のアメリカを舞台に核ミサイル発射の危機が及ぶ中、大統領たち首脳陣と脱獄犯の緊迫の駆け引きを描いたサスペンス映画。

州刑務所を脱獄した囚人たちがミサイル基地を占領し、合衆国大統領に要求をつきつける。それは1000万ドルの現金、大統領自身が人質になって専用機で犯人たちを国外逃亡させること、そして機密公式文書9759の公表であった。新任の大統領は機密文書の内容を知って愕然とする。
ロバート・アルドリッチ監督は、ゲーム感覚のアクション演出と、男くさい作風で知られる名匠。本作もミサイル発射をめぐるサスペンス描写に卓越したタッチが見られ、とりわけマルチスクリーンを使って複数箇所の状況描写を行い、その様子が同時に見えることにより臨場感が煽られるのが駆け引きの醍醐味。

本作が単なるサスペンス映画に終わっていないのは、ベトナム戦争に関わる機密文書の内容と、それを公表すべきか悩む大統領の内的葛藤を描いたことである。なお本作には2時間24分の劇場公開版と約1時間25分のインターナショナル・バージョンが存在し、後者では機密文書の内容に関する描写はないとのこと。
今回鑑賞したのは劇場公開版である。
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