タイセイ

あんのタイセイのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
5.0
「私たちも陽のあたる社会で生きたい」

どら焼き屋「どら春」の店長・千太郎(永瀬正敏)はある日、店に訪れたバイト希望の老婆・吉井徳江(樹木希林)と出会う。
最初は断っていたが徳江の持参したあんの味が絶品で、店に迎え入れることとなる。

この作品に少し救われた。
主要人物である徳江、千太郎、ワカナの抱える問題が根本的に解決されるわけではない。
ただ、彼らを繋げる「あん」の存在が彼らに救いを与えている。
彼らの出会いは彼らが自由に生きることのきっかけだったのだ。
『海よりもまだ深く』の樹木希林の演技が好きなので、本作ももちろんたまらなく好きである。
笑顔の中にどこか寂しさを感じる演技が素晴らしく、なんといってもどら焼きを笑顔で美味しそうに食べるシーンが微笑ましい。
私は正直たい焼きや今川焼きを食べる時はあんこではなく、断然カスタード派なのだが、本作を観て「あん」を食べたくなった。

追記
新所沢レッツシネパークさよなら興行にて再鑑賞。
やはり劇場で観ると情景がより美しく映える。
原作者ドリアン助川さんのトークイベントも興味深い話だった。
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