"あなたが愛しているのは自分とショーだけ"
【感想】
《ミュージカル映画3貫》2貫目
Filmarks史上一番点数に悩み続けている映画。作曲・歌唱力・ダンス・歌のシーンの映像は150点なのに対して、個人的には脚本やコンセプトが色々と納得いかないので、とりあえず折衷点の3.7にしてます。
もう一回言うけど音楽面は本当に満点以上!!!
まずオープニングが最高で鳥肌が立つ。そしてそのまま夢を追う少年バーナムと後の妻チャリティとの出会いからそのまま転換していく"A Millions Dreams"は歌・声・映像の美しさに感動させられるし、サーカスが始まる"Come Alive"やヒューとザックのスタイリッシュなダンスと歌の掛け合いが見られる"The Other Side"も最高にワクワクさせてくれる。リンドの"Never Enough"には圧倒させられるし、もちろん有名な主題歌"This is Me"には毎度涙腺が緩む。ロマンチックな"Rewrite the Stars"や優しい声が心に沁みる"Tightrope"も、その1曲だけで何度も聴いているくらい好き。
というか正直、その辺りまでは話にもそこまで不満にさせられず、初見の際も「これは最高の映画になる」と思いながら観てた記憶がある。
個人的に、問題はその後から。
どんなオチ・学びが待っているのかと思いきや、打ち切り漫画のように端折った適当に思える展開が始まり、そのまま駆け足で「何となく感動ムード」の終着へ向かっていく。
歴史上あまり美化してはいけない人間を、美声のイケオジであるヒュー・ジャックマンを起用してあまりにかっこよくしてしまったからには、それ相応にメッセージ性のあるオチが必要だと思うのに、美化し過ぎていなかったとしても納得いかなかったであろう雑で"変に優しい"終わり方。あれは本当に納得いかない。
「ミュージカルなんだからエンタメとして楽しめばいい」では済ませられないのは、ミュージカルでエンタメでもちゃんと脚本がある作品もたくさんあるから。
まして今作は悪党・ペテン師を美化しているんだから、更に脚本をちゃんとする責任がある、というのが個人的な考えです。
ガタガタ言っても結局サントラを鬼リピするほど大好きなシーンが多いからこそ、終盤の適当さが許せないんです。
他もダメならもう語ることもないけど、他が最高過ぎるからこそ文句を言いたくなるんです…
"行動力と商才はあるけどヤバい奴"なバーナムは半ヴィランみたいな立ち位置にして、フリークス達、もしくはフィリップ&アンを主人公にしておけばよかったんじゃないかとずっと思ってる。
これからも何度も観たくなっては、最高の興奮とやるせなさを一緒に感じるのでしょう。
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観た回数:8回
直近の鑑賞:Disney+(22.02.15)