ナカノカナ

罪の余白のナカノカナのネタバレレビュー・内容・結末

罪の余白(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


予告PRを見て借りましたが、とにかくガッカリ。

少女に勝てず、戦いすらまともにさせてもらえない弱い"大人"の話です。

シリアスさも緊張感も特にありません。
音楽も一貫して壮大で優雅なメロディなため、あたかも彼女たちは『一時の過ちを犯した』と言いたげです。
さらに不可解な点は多いまま序盤が過ぎるので、感情移入が出来ません。
(学者ならもっと娘の部屋調べろよとか、谷村美月はなんで家の中に入って料理まで振る舞えるのかとか、サキが名前を偽ったのに追求しないのかとか、みんなアホみたいにいい家住んでるのに親無関心すぎじゃないとか、そんなに誰にも学校のこと言えないのとか...笑)
むしろ私ならサキにああ言うなあとかこう言うなあとか考えてしまって...だめだぁw

悪役ヒロインのサキですが、これまた『渇き』の加奈子には到底及びません。
決められた中で演じたといえば素晴らしいのかもしれませんが...
やはり人を追い詰める人間でしかも、無垢な少女のフリをするならばあの言葉遣いや表情、行動は無いなと感じます。

しかしこれ原作があるんですね。
まあみなさんのレビューを見る限りほぼ別物みたいですが。



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個人的考察

▼罪の余白とは
衝動で犯してしまった過ちを正せる"猶予"みたいなものかなと。
最初サキがカナを支配しようと思ったのはほぼ思いつきだと思います。あいつならいけそうとか、自分の力を誇示したいとか慕われたいとかそんなフッと湧いた思いからだと思います。
最後のパパを突き落とすまで、何度も悔い改められるきっかけはあったはずです。
まほがもうやめようと言った時、ダサいけど自分に嘘を吐かなかった心理学者に話しかけられた時、大手のプロダクションにスカウトされたとき...なのにそうしなかったのはサキの決めたこと。サキの問題。
罪を犯してしまうのは仕方ないけど、そこから道を正せるかどうかは余白の部分でどう行動するかってことなのかな。

▼ベタ(闘魚)について
女子高生の比喩かなと思いました。
見た目は美しい。優雅に泳いで、華麗な色で。でも生き残るために、同種族でも構わず(なんなら鏡に映った自分でさえ)殺そうとする。
学校という閉鎖的な空間(しかも今回はカトリック)で見た目は可愛らしく、しかし生き延びるのに必死な彼女達は憐れなベタのよう。

カナは最初からベタを見て、もっと広いところに行けたらと言っていました。
正直広いところに出ればそれだけ敵は増えると思うんですけどね。まあエンカウント率は減るのかもしれないけど。

結局は強く生きるしか無いってこった。