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エレン・ターナン ~ディケンズに愛された女~のtransfilmのレビュー・感想・評価

3.5
フェリシティ・ジョーンズ主演のシェイクスピアおじさん監督二作目。一作目でシェイクスピア原作の映画化に挑戦したおじさんが次に撮るのは、「大いなる遺産」や「オリバーツイスト」で知られる18世紀のイギリスの作家チャールズ・ディケンズの伝記映画です。
日本のほとんどの映画ファンがまったく注目していない本作を注目したというのに「50代のレイフおじさんが18歳のフェリシティ・ショーンズ(実際は30代、まったくみえないけど)を秘密の愛人にする」というあらすじをみて、いきなり恩をあだで返された気分に。

- レイフおじさん!きさまは失格だ! -

というジャッジを下しそうになったけど、
観始めてすぐに、おじさんの力量と素晴らしさがよく分かりました。

なんて美しい映画なのか。
浜辺といい、列車の窓から観える風景といい。そして当時のイギリス人の身のこなし方といい。
古き良き名作小説の世界をそのまま映像に現したような、重厚で威厳のある雰囲気。
そこにさらにクリスティン・スコット・トーマス、フェリシティ・ジョーンズの芸術的な演技も加わって、
この映画はまるでどこかの巨匠監督が撮ったような雰囲気がある映画だと思う。
セリフひとつひとつも、「このおじさん、だてにシェイクスピアばっかり読んでないね!」といわせんばかりの古風かつ文学的美学を感じさせるセリフが多かった。
エンドクレジットで流れる音楽もとても綺麗。
思わず「この映画は名作!」と言いたくなってしまう。
そんなポイントが抑えられた映画だと思う。

で、ポイントは抑えられてるんですけど、
ポイントじゃないところで気になった点が。
ひとつ、妻のキャスティング。
すごく太ってて美しくない女性がキャスティングされているんですが、これだったらディケンズがどんなに知的な言葉を並べても、「美しい女性がすきなだけだろ?こざかしい!」
とつっこみたくなってしまう点。

ふたつ、ラストのあるセリフ。
「彼は・・気づいていたの、自分のほうが先に逝ってしまうだろうと・・」

そう・・。きづいたんだね・・。すごいね・・。

というわけで、おじさんに最終ジャッジを下します。

- レイフおじさん! きさまは退場だ! -
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