ダイアン・キートンの良さが光る群像劇。
クリスマスイブの1日の大家族のそれぞれの物語が収束していく。
冒頭シーンが好きだった。音楽と雪景色がマッチしていて、楽しい作品の雰囲気が伝わってくる。犬がはしゃぎ、街は浮かれ、子供たちが口を開けて、空から降ってくる雪を呑み込み、サンタが歩き、サンタが運転し、サンタが地下鉄に乗っている😂
そして、豪華キャストそろい踏みと言った感じ。ダイアン・キートンとジョン・グッドマンの夫婦も自然な感じ。定年後のアフリカ旅行の行くか行かないかで揉めているけど、そこにはより深い本質が隠れている。
2人の月日で見失ったこと、見逃したこと、そんなことを感じさせる。その年輪の味わいが出てたと思う。
ダイアン・キートンの妹のマリサ・トメイは姉にコンプレックスを持ち、ブローチを口に入れて、盗難で捕まる 笑 捕まえた警官(ファルコン役の彼)との心の交流も面白い。
姉妹の父のアラン・アーキンは、通うカフェのウェイトレスのアマンダ・セイフライドにささやかな想いを寄せる。彼女と交わすチャップリンの「街の灯」のシークエンスは味がある。
そして、ダイアン・キートンの長男は「ハングオーバー」のエド・ヘルムス。失業中を隠しているのだけど、嘘をつくとすぐ鼻が鳴ってバレる 笑
長女のオリビア・マンが一番ドラマティックな展開だけど、男運なくやさぐれた劇作家で、母の軽蔑の眼が嫌で、空港であった兵士を彼氏だと言って家に連れていく、これはありがちな展開でそんなに感情移入できなかった。あと、エド・ヘルムスの息子が高校生で好きな女の子と初キスをするのだけどそれが強烈過ぎて笑える。この役を後にブレイクするティモシーシャラメが演じている。
前半は各々に展開していって、回想も交えながら、家族一人一人の背景と抱えている問題がわかる。
後半に一家に集まって、てんやわんやの果てに、お爺ちゃん倒れてという展開で、皆からほろほろと本音が零れおちる定番の流れは面白い。その一連ではみんなでギター片手に歌うシーンが何だか素敵だなと思った。全然うまくないんだけど。
ちょっと私は気になったのは台詞がクサく感じ、取ってつけた感じがしたのと、モノローグの多用(独白の正体は面白いけど)で説明的な感じがしてしまったこと。
ニーナ・シモンやボブ・ディランの名曲にのせた音楽もちょっとオーバーな感じがしてしまって、これは感性に因るものだと思う。
私は「ラブ・アクチュアリー」や「アバウト・タイム」のリチャード・カーティスの台詞や脚本が好きなのだけど、彼の作品に比べて、台詞があまり沁みてこなかった。
それでも、4世代に跨った家族の物語がうまくまとめあげられていて、ほっこりできる。
それぞれが抱えた痛みが何だか和らいでいくのがいい。
そして、家族の消せない過去が家族の共に過ごす今によって癒される、そんなクリスマスイブは素敵だなと思う。
ただひとつ、この作品はシーズンを外して観ると、なかなか雰囲気に浸れないこと。
クリスマス時期にオススメ🎅笑