たかくらかずき

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのたかくらかずきのレビュー・感想・評価

4.8
JJエイブラムスがめちゃくちゃ綺麗に風呂敷を畳む本作!8で描かれようとしていた、フォースの本質みたいなものを深める描写を引き継ぎつつ、ランドなどのキャラクターもしっかり登場させ、血縁の物語からフォースを万人のものに解放して、新たな世代にバトンを渡す。よくできている!

そして過去のジェダイ達の過ちが描かれる。光であるが故に、シスを悪と決めつけて恐れ避け続けていたことがジェダイたちの失敗であり、戦いが終わらない理由だったんだなぁ。最終的に善と悪の戦いでなく、レイとレンによる陰と陽の融合は何かタオの概念のような東洋的な思想の真髄まで到達したような感じすらある。今回新たにレイとレンが発揮した他者を治癒する能力も、フォースがよくわからないものではなく、自然エネルギーと一体化する禅のようなものだということがよく描かれていて、ルーカスが明言していた"フォースを理解不能なパワーにはしたくない"という希望が果たされている感じがした。

ビジュアル面でも、7-9は4-6と使われている宇宙船などの設備は近いものの、廃墟になったデススターや古代の寺院など、"未来だったSFが過去のものになりファンタジー化した世界"が一貫して描かれていて、この雰囲気が今までのスターウォーズとは違った"SFというか、魔法もの?"という感じを醸し出している。しかしこの雰囲気こそがこの三部作の大きな魅力で、新しいと思っていたものが古くなり、未来と過去が同居しているようななんともいえないロマンを感じるし、そこにリアルな時を超えた長く続くシリーズだからこそできる新鮮さも感じることができる。

全て見終わったときはまさに宇宙船を下車したときのよう。数々のキャラクター、ドロイド、クリーチャー、さまざまな空間と過去や未来といった時間を超える素晴らしい観光と歴史の体験。そして見えないエネルギーや人の運命に思いを馳せることができるシリーズ。想像力の塊をありがとうございました!
たかくらかずき

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