さりさり

今朝の秋のさりさりのレビュー・感想・評価

今朝の秋(1987年製作の映画)
4.7
山田太一が描く「笠智衆/NHK3部作」第3弾。
完結編だ。
今回は年老いた主人公の息子が病に侵され、余命幾ばくもなくなるという話だ。
親より先に子が逝く。
その不条理に、親はいたたまれない。
バラバラだった家族が、病をきっかけに、断ち切れてしまった絆を結び直す。
それはきっと、家族だからこそ出来る事なのだろう。

3部作にして傑作。
笠智衆はもちろんのこと、今回は息子役の杉浦直樹が素晴らしかった。
一見しただけで「もう先はないだろう」と思わせる圧巻の演技。
悲愴感の塊である。

実に重い内容なのに、この温かさと美しさは何だろう。
やはり笠智衆の持つオーラが、哀しみの全てを包み込んでくれている……そんな気がした。

加藤嘉との歴史的ツーショット。
今回のツーショットはやはり彼だったか!
素晴らしい。
もうただひたすら、ありがたくて涙が出る。
スチールにして部屋に飾りたいくらい。笑

今回も豪華な出演者。
笠智衆を筆頭に、
杉浦直樹
杉村春子
樹木希林
加藤嘉
……今気づいたけど、みんな亡くなってるやーーん!

*****

昭和の名優たちが織りなす名作。
笠智衆3部作、充分に堪能いたしました。
ありがとうございます。
本作は☆4.7といたしましたが、3部作通してのスコアは笠智衆さんに敬意を表し、☆5つ付けさせていただきたいと思います。
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