爆裂BOX

シンティラ・プロジェクトの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

シンティラ・プロジェクト(2014年製作の映画)
3.6
何者かに雇われたベテラン傭兵のジムは、女性科学者ヒーリーを連れて旧ソ連の民兵たちが支配する地下施設へ連れていく任務を与えられる。精鋭傭兵仲間と共に地下施設へ侵入することに成功したジムだったが、そこには地上とは全く違った脅威が待っていた…というストーリー。
「エイリアン・プラネット」のビリー・オブライエン監督によるSFスリラーです。
アフリカの刑務所で死を待つばかりだったベテラン傭兵のジムに旧ソ連の地下施設から博士を連れ出すミッションを受け、かつての精鋭傭兵仲間と共に女性科学者ヒーリーを連れ施設へ向かいますが、前半は民兵達の拠点にもなっている施設へ潜入する様が描かれますが、設備の点検を装った別動隊と実働部隊に別れて戦闘を避けるために敵に見つからないように潜入すいていく様子は、派手なアクションはないながらも緊張感感じられて見入りました。監視カメラの点検装った別動隊の二人も民兵達に怪しまれる所等ハラハラしましたね。潜入した地下へ降りる通路でハエ頭のマスク被った謎の兵士に注射器で襲われる所も不気味さ感じられました。注射器で刺されて腕にブツブツ水泡が浮いてくる所は気持ち悪かった。
後半は施設で生み出された隕石に含まれていた地球外生命体と人間のDNAを掛け合わせたハーフゲーテとアリが登場し一気にSF色が濃くなりますが、ゲーテとアリのクモのような複眼と首筋に呼吸孔が開いたヴィジュアルは生理的嫌悪感くすぐられる出来で良いですね。首傾げる時の動きなど人間の姿してるけど人間とは違うと感じさせる動きも良いですね。このゲーテ達が脱走する為に暴れる展開かと思いきや、そうなりますが任務の隠された一面が明らかになったり、仲間の裏切りにあったりと人間同士で争う展開になったりしてちょっと予測付き辛い所も良かったですね。博士達が出産の時が迫って苦しみアリの事に構わず、胎児の事だけ優先する所や麻酔効かないのに帝王切開しようとする所等も人間の醜さ感じさせます。
主人公ジムは冷静で渋くてカッコよかった。仲間の裏切りにあってからも、負傷した仲間を助けて脱出する為裏切った仲間に銃渡してまた行動する所もプロっぽかった。ヒロインかと思ったヒーリー博士は終盤一番ヤバい悪役と化しましたね。クレイグ・コンウェイはやっぱり裏切り者キャラかと思いましたが、終盤改心して漢気見せてくれたな。ネッド・デネヒー演じるジムの親友ハリスも要所要所でいい仕事ぶり見せてくれますし、最後も男気感じられました。主人公騙してたみたいだけど。
終盤ではモンスター化した仲間が出たり、ちょっと銃撃戦も盛り込まれたりと前半と比べるとちょっと派手な描写も出てきます。ゲーテの持つ小さい装置で人間の頭部が破裂したり、水風船みたいに破裂する所は「第9地区」彷彿しました。上半身と下半身切断されたり終盤ゴア描写も出てきます。
ジムが銃構えてゲーテに迫っていくシーンはかなりハラハラしました。ずっと食べてたサンドイッチが伏線になる所もちょっと「おお!」と思いました。結局また元に戻るような冒頭と韻踏んだオチも良いですね。
ラストの不気味な余韻も個人的には好きですね。外界に解き放たれて社会に紛れ込んだゲーテはこれからどう行動するのか…
全体通して地味な作品ではありますが、流れる雰囲気が好みで飽きることなく見れました。