みおこし

BACKSTREET BOYS:SHOW ‘EM WHAT YOU’RE MADE OFのみおこしのレビュー・感想・評価

3.8
数年前から一気にバックストリート・ボーイズの魅力にハマり、おととしの来日公演も参戦予定だったのですが何と台風のせいで東京公演が中止に。今やコロナ禍でさらに遠のいてしまいましたが、いつか生で5人を観られる日を日々夢見ています…(涙)。

そんな世界中を魅了し続け、史上最も売れた”ボーイズ・バンド”になったBSBの知られざる裏側に迫ったドキュメンタリー。2013年リリースのアルバム”In a World Like This”の製作にあたり、家族や恋人も一切同伴せずメンバーだけで共同生活しながらのアルバム作りに臨んだ5人。そのときの貴重な映像や、ライブのバックステージ、さらに5人それぞれの里帰りを記録した、ファンにとっては大変貴重な映像になっています。
ライブは当然ながら、色んな番組での彼らを観ているととにかく朗らかで元気いっぱいな印象が強くて、メンバー全員が40代を迎えた今でもパワフルそのもの。ただ、本作はそんな普段の印象とは違った真剣モードだったり、怒りや悲しみを爆発させるありのままの姿も捉えているのが興味深い。
最年長のケヴィンから最年少のニックまで、メンバー全員が遊びたい盛りのティーンエイジャー時代を芸能界で過ごし、本物の兄弟のように20年以上一緒に過ごしてきたわけで。自らビラを配って宣伝する”NOファン”時代に始まり、世界的ブレイクを果たして休む間もなく歌い踊り続けた日々、同じく人気を博したボーイズ・バンドのイン・シンクなどの登場に起因する低迷期、さらには”育ての親”だった音楽プロデューサーとの決別…。波乱に満ちたBSBのヒストリーを紐解きながら、なかなかメディアで語らなかった本人たちの苦悩や本音もポロリ。30年近く第一線で活躍し続ける5人がどれだけのプレッシャーを抱えながらこの地位を築いてきたのかを痛感してじーんとしてしまいました。「もうBOYじゃないけど、でもボーイズ・バンドなんだ!」と自虐しながらも、ずっとそれを保ち続け、ただのボーイズ・バンドを超えてBSBならではの在り方を創り上げた5人は本当にすごい…。

一番驚いたのは、アルバム製作に行き詰ってブライアンとニックが言い合うシーンが収録されていたこと。心臓手術に加え、筋緊張性発声障害を患うなど体調が万全ではない中活動を続けていたブライアン。そんな彼を救いたいのに素直に頼ってもらえないことに苛立つニック。時折Fワードも交えながら、思いのたけをぶつけ合う姿は、長きにわたって共闘してきたからこそなんだろうな…と、ここでもメンバーの絆を感じて感動。中立の立場で諫めるリーダーのケヴィン兄貴、静かに見守るハウィー、自身もメンバーに迷惑をかけた過去があるためちょっとばつが悪そうなAJという構図もまたリアルでした(笑)。

2年という長い時間をかけて作られたドキュメンタリーということで、本当に細部までBSBの色んな表情が捉えられているし、何よりありのままの5人を観られて本当に幸せな時間でした。ファンはもっとBSBが好きになれるはず!
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