川端アルパチーノ

あっちゃんの川端アルパチーノのレビュー・感想・評価

あっちゃん(2015年製作の映画)
5.0
ニューロティカ。
パンクロック、スカパンクを多少なりでも聞いていればこの日本のバンドの名前に自然とたどり着く。
この10年ぐらい私はHIPHOPという音楽と共に生きてきましたが、それ以前はバンドが大好きな少年でした。ニューロティカのライブ会場にも足を運んだことがあり、ピエロの姿をした『あっちゃん』の名前で愛されているボーカルがライブ終演後に固く握手してくれたことを覚えている。
あれから10年近く経ち、当時一緒に遊んでいた連中とは遊ばなくなり、パンクロックやスカパンクを聞く機会もめっきり減り、ニューロティカの存在も頭の片隅に眠っていた。
ある日この映画の噂を聞いたので懐かしいと思い鑑賞。
そこに描かれていたのは決して懐かしいものではなく、現在進行形で音楽を奏で続ける男の姿があった。
タイムラインと共に数秒で様々なものが風化していくこの時代、インパクトを残すことは容易ではない。音楽にしても、映画にしても誰もが表現者、批評家として存在を主張し、その中に埋もれては消えていく。
この作品は現代に生きる私や同世代の人間に、流されず自分の信念を貫き通すことと、何が何でも継続することのタフさを訴えかけ、その姿は泥臭くも、鳥肌が立つほど美しい。
EXILEの舞台裏を高い金で作ったファン向け映画とは比較にならない作品だ。