ぴろぴろ

ふたつの名前を持つ少年のぴろぴろのレビュー・感想・評価

ふたつの名前を持つ少年(2013年製作の映画)
4.0
舞台は1942年ポーランド。 8歳の少年がたった一人でナチス・ドイツの手を逃れ、終戦までの3年間を生き抜いた壮絶な生き様を描く。
ホロコーストを描いた映画は多く、秀作揃いだと思う。 やはり残忍な史実に基づいた作品は それだけで心に力強く訴えて来るモノがあるし、「事実は小説よりも奇なり」という事なのだろう。
主人公の少年の利発そうな瞳と、ポーランドの森や川、農村の美しさ。 かえって対照的に、この自然の美しさが冷酷なまでに厳しく映る。 愚かに争ったり差別するのも人間であり、そんな時代にあっても救いの手を差し伸べてくれる人間もいた。 何が正しくて、何が理に反しているのか。 現在の尺では計りきれない戦争の中にいて、勇気を持った行動が出来るのかどうか、私は自信が無い。
少年と父親とのシーンには涙が止まらなくなった。 この少年は勇気と逞しさと賢さの他に、物凄い強運を持っていたのだと思う。 決して親切な人とばかり出会えた訳ではなかったが、8歳という年齢を考えた時、どんなに寂しく心細く お腹が空いて寒かっただろうと。 少年の視点で描かれた、今作も秀作です。
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